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京都U-18、大分に逆転3発で8強入り! “機転”の同点弾MF川崎主将「裏に走ってみようと…」

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同点ゴールを決めた京都サンガF.C.U-18のMF川崎颯太(3年)

[7.25 日本クラブユース選手権U-18大会決勝T1回戦 大分U-18 2-3 京都U-18 前橋フD]

 日本クラブユース選手権(U-18)大会は25日、決勝トーナメント1回戦を行い、前橋フットボールセンターDでは京都サンガF.C.(関西2)と大分トリニータU-18(九州4)が対戦した。前半にワンチャンスを生かした大分が先制するも、そこから京都が3点を奪って逆転。最後は大分が猛攻を仕掛けるも反撃は1点にとどまり、京都が2014年以来の8強入りを果たした。

「一昨年、昨年はグループリーグで敗退していて、昨年は“黄金世代”と言われていたのに届かなかった。だから僕たちは実力以上の力、プラスアルファを出さないといけない。まずはみんなで声を出したり、身体を張ったりすることを目指してやっている」(MF川崎颯太・3年)。

 そんな主将の言葉どおり、連戦の中でもハツラツと試合に入った京都は序盤から決定機を連発した。前半1分、まずはMF山田楓喜(3年)の左足シュートがわずかに枠を外れたが、同2分にはMF遠山悠希のミドルでGK木戸雄登(3年)を強襲。さらに同3分、左CKからDF前多駿佑(3年)のヘッドも枠内を突き、相手を一気に圧倒した。

 対する大分は自陣からゆっくりとボールをつなぎ、相手のプレッシングを誘い込みながら前進していくスタイル。前半6分、MF工藤大雅(3年)とMF上西峻平(2年)のワンツーから中央を攻め上がり、最前線のFW小浜耀人(3年)がチャンスを迎えた。しかし、主導権はやはり京都。虎視眈々と相手のビルドアップを狙うべく、高い位置で待ち構えていた。

 ところが、流れを変えたのは猛暑を受けて行われた飲水タイムだった。選手たちがピッチに戻ってきた直後の前半27分、大分は低い位置からMF平川絢大(2年)がボールを前に送ると、左サイドをMF西城響也(3年)が突破。クロスをエースの小浜がワンタッチの左足で流し込み、少ないチャンスを先制ゴールに結びつけた。

 さらに大分は前半29分、再び左サイドを西城が切り裂くも、シュートは惜しくも枠外。すると同35分過ぎ、京都の選手が負傷でいったんプレーが途切れ、またしても直後にスコアが動いた。京都はDF井上航希(3年)のロングフィードが右サイド奥に通ると、これに川崎が反応。背中で相手を制して、左足カットインシュートを突き刺した。

 京都にとっては大きい主将の同点弾。3列目からの裏抜けを成功させた川崎にとっても「相手がブロックを固めていたのに足元で受けようとしていて、自分が下がっていた時に出しどころがないと思っていた。だから裏に走ってみようと思ったら、良いボールが来た。みんなも引いていたので一人で行ったけど、利き足じゃないので思い切り打とうと思った」と手応えの一撃だった。

 前半は1-1で終了。形勢は京都が優位に思われたが、選手たちの印象は異なっていた。「昨日の横浜FC戦(○2-0)は2点差以上で勝たないといけない厳しい戦いだったので、思っていた以上に消耗していた。行こう行こうと思っていたのに行けていなかった」(川崎)。ならば後半はもっと走れるはず。そうした意思を共有し、残り40分間のピッチに向かった。

 京都はハーフタイム明け、山田に代えてFW勝島新之助(1年)を投入。さらに相手ビルドアップへのプレッシャーを強めると、セットプレーから勝ち越しに成功した。後半8分、MF中野桂太(2年)の右コーナーキックは相手に阻まれたが、セカンドボールを拾ったMF遠山悠希(1年)が左に展開。これを受けたMF中野瑠馬(2年)が正確にゴールネットを撃ち抜いた。

 さらに京都は右サイドの中野桂がますます存在感を増すようになり、そこからは一方的な展開。後半11分のチャンスは木戸が防いだが、同15分に大きな追加点が入った。ピッチ中央で連動したプレッシングから中野瑠がボールを奪うと、ミドルレンジから左足を一閃。相手ディフェンスに当たったボールが木戸の頭上を越え、そのままゴールマウスに吸い込まれた。

 一方の大分は「もったいない失点」(山崎哲也監督)による痛い2点ビハインド。失点直前には負傷明けのDF永森舜(3年)を投入していたが、さらにMF弓場将輝(3年)、FW工藤宗大(3年)を入れて前線に圧力を出そうと試みる。すると後半の飲水タイム後からは、疲れの見える京都を押し込む時間帯が増え、終盤の猛攻に期待をかけた。

 大分は後半23分、左サイドを突破した西城のクロスを小浜、弓場がつなぐも、無人のゴールに蹴り込んだ工藤のシュートはオフサイドで認められず。同33分には波状攻撃から西城が強烈な右足シュートを狙ったが、GK北原一樹(3年)が好セーブを見せた。そして同34分、最後の交代カードを使って2枚替えを敢行。さらに攻勢を強めた。

 すると後半35分、大分がようやくスコアを動かした。中央でタメを作った工藤のパスから途中出場DF溝口一陽(3年)が右サイドを駆け上がると、ペナルティエリア角から低いクロスを配給。これをニアの工藤がスルーし、相手DFに競り勝った小浜がダイレクトで押し込んだ。小浜は今大会4点目。しかし、反撃はここまで。最後は鬼気迫る守備を見せた京都に軍配が上がった。

 京都はこれでFW奥川雅也(ザルツブルク)、MF永島悠史(岐阜)を擁した2014年以来の8強入り。準々決勝の相手は川崎フロンターレU-18に決まった。甲府アカデミー出身の川崎にとって、川崎Fはジュニア時代から何度も対戦してきたライバル。MF宮城天、MF山内日向汰との再戦に向けて「個がうまいし、一人で打開できるので注意したい」と狙いを語る。

 また、その先に見据えるのは全国の頂点だ。「実は京都がこれまでどれくらいまで行ったのか分かっていないですけど……」と苦笑い気味に明かした川崎は「行けるところまで行きたいし、最高成績を作りたい」と決意を示す。ならば、2000年度に到達した準優勝を超えるのみ。「一戦一戦を大事に」(手島和希監督)する京都は現状の成績に満足せずに戦い続ける。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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