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[MOM2931]高知MF小黒大翔(3年)_ 「緩急」使い分ける 大型ボランチが攻守で存在感

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高知高の大型ボランチ、小黒大翔(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.27 総体2回戦 高知高 4-0 西武台高 金武町フ]

 ボールを奪う力も、技術・判断力にも長けた大型ボランチが、「緩急」で快勝に貢献した。高知高MF小黒大翔(3年)は、埼玉王者・西武台高との2回戦で抜群の存在感。前半から何度もグラウンダーの縦パスを通してチームに流れを引き寄せると、球際の攻防戦でも相手をいなしてボールキープしていた。

 本人は横への展開が少なかったことから「自分としてはそんなに良くなかったです」と首を振る。疲労でミスの増えた時間帯も。一方で、インターセプトから自らシュート、スルーパスへ持ち込んだほか、一見、狭く映るようなスペースに長短のパスを通すなど、スタンドのスカウト陣を唸らせるようなプレーもあった。

 判断しながらボールを動かす高知の中心プレーヤー。攻撃面以上に効いていたのが守備面だ。182cmの高さを生かしたヘッドで空中戦を制圧。高い位置でのインターセプトがあったほか、後半の苦しい時間帯に相手のカウンターをスライディングタックル一発で止めたり、一人でボールを奪い取ったりする姿も印象的だった。

 試合終盤は4バックの前にどっしりと構えてスペースを消しつつ、狙いを定めるとスプリントから強烈なタックル。この「緩急」の使い分けも絶妙だった。高橋秀治監督は「いつも言っているのが緩急。いかに緩急を使えるか」。関東の強豪校の選手たちに比べると、高知県内の選手たちだけで構成された高知は、個々のスピードで劣る部分が多い。その中でいかに自分たちの動きやパスを速く見せるかがチームのこだわり。この日、その「緩急」を特に表現していたのが小黒だった。
 
 勝ち気なMFはこれまで、前半から飛ばしすぎて後半にバテてしまうことも多く、体力面をコントロールするためにも「緩急」を活用。「バランス重視しながら行くところは行く。後半の最後の方で攣ってしまって自分のポジションが空くのが一番怖いのでよく考えてプレーしています」。憧れの存在に日本代表MF柴崎岳を挙げるボランチは、悔しい経験もしながら身につけた強みを今後も発揮して関係者たちにアピールする。

「明日はもっと自分でも調子が上がると思っている。守備の時間もあると思うので、守備を意識しながら、出ていくところでは出ていきたい」。3回戦でもチームの攻守のスイッチを入れ、決定的な仕事をする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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