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ピンチの後にはチャンスあり!北越が超カウンターで地元の那覇西を退ける

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北越がカウンターから決勝点(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.27 総体2回戦 那覇西高0-1北越高 黄金森公園陸]

 北越高(新潟)が、大ピンチからのカウンターで得た1点を守り切り、地元・沖縄代表の那覇西高(沖縄1)に1-0で競り勝った。那覇西は会場の駐車場に車が入り切れないほどの応援を受けたが、その期待には応えられなかった。

「止めて蹴る、相手を観て判断するというのは常に言っている」(荒瀬陽介監督)という、基本を徹底する北越は丁寧に展開。「バイタルに入ってからはチームの形と個人のアイデアを重ねながらやっている」(平安山良太監督)という那覇西はテンポの速いサッカー。異なるスタイル同士の対戦となった。

 前半のクーリングブレイクまでペースを握ったのは北越。那覇西には硬さが見られた。「クーリングブレイクの時に『落ち着いたか?もうええか?』と。この会場は昨年の選手権決勝で勝った縁のある場所。雰囲気、会場を観て、みんながいて、いつもの沖縄。でも名の付く大会で勝手に緊張してしまった。でもそれはしょうがない。70分でいかに1点を取るかを考えていました」。

 平安山監督の言葉が効いたか、前半のクーリングブレイク明けから那覇西のテンポが上がる。長短織り交ぜたパスに北越が後手に回るケースも増えた。「正直もっとボールが奪えるかと思って前に出たのですが、落ち着いてボールを回されたり、ターンされたりと技術が高かった。それで行こうとしていたところでいけなくなってしまった」とは北越の荒瀬監督。それでもフィニッシュの部分ではしっかりと守り切り、0-0で前半を折り返す。

 後半も那覇西のペースで始まった。最大のチャンスは8分。MF高良英希(3年)からのボールがPA内ゴール正面のMF上原琉暉(2年)に出る。上原はこれをシュートせずパスを選択し、走り込んだFW山川樹(2年)がノーマークでシュート。しかし北越GK平山颯太(2年)が抜群の反射神経でセーブした。

 ここから北越がカウンター。左サイドでボールを受けたFW庄内碧(3年)が相手一人をかわしゴール前へドリブルで持ち込む。フォローも走り込んでいたが自らシュートを放ち、ゴールを決めた。そして、これが決勝点となった。

「相手は地元で応援含めてアウェーでした。けっこうやられたな、という印象ですが、ピンチをよくしのいで耐えて1点をもぎ取ってくれたと思います。GKもここ最近は調子がよくて止めてくれているので信頼していました」と北越の荒瀬監督も選手たちを称えた。

 一方、那覇西の平安山監督は「70分でいかに1点取るかを考えていて、1点取られてからは別のゲームプランでいきましたがチームをガラッと変えて取りに行けたかというと…。それはチームの課題として残りました。1点取るのは同じでも、時間を使ってくる相手からボールを奪わなきゃいけない。自分たちの足も止まるかもしれない。それでも控えがいるから気にせず行かせるんですけど、焦ったり雑になってもだめで、周りを見ながら速いテンポでボールを動かす自分たちのスタイルは見失ってはいけないと伝えたんですが…」と唇を噛んだ。

 結果は紙一重だろう。もしカウンター前のチャンスを那覇西がものにしていたら、ゲームは全く違ったものになっていた可能性が高い。70分の試合時間の中、一瞬の攻守で分れた明と暗。サッカーの難しさが凝縮された試合だった。

(取材・文 伊藤亮)
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