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“らしくない”粘り強さも力に。「一日一日成長」の尚志が神村学園とのPK戦制し、8年ぶり8強!

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後半24分、尚志高FW山内大空主将が同点ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 総体3回戦 尚志高 1-1(PK4-2)神村学園高 吉の浦公園ごさまる陸上競技場]
 
 尚志が8年ぶりに8強進出! 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」男子サッカー競技(沖縄)は28日、3回戦を行った。1月の選手権4強の尚志高(福島)と神村学園高(鹿児島)との一戦は、1-1で突入したPK戦の末、尚志が4-2で勝利。11年度以来となる8強入りを果たした尚志は、準々決勝で初芝橋本高(和歌山)と戦う。

 先制点は神村学園が奪った。前半6分、右クロスをMF野邊滉生(3年)がゴールを背にしたまま落とすと、2回戦3得点のMF濱屋悠哉(3年)が右足ダイレクトでシュート。大きな衝撃音が聞こえるほどのインパクトで撃ち抜かれた一撃がゴール左隅に突き刺さり、神村学園がリードした。

 その後も、試合の主導権を握っていたのは神村学園の方。1ボランチのMF永吉飛翔(2年)に加え、右SB中島吏九(3年)と左SB下川床勇斗(2年)もゲームメークする力を持つ神村学園は、ボールを保持しながら時間を進める。そして、飛び込んできた相手をかわした際には一気にスピードアップ。濱屋やMF樋渡鯉太郎(3年)がシュートを放つなど追加点を目指した。

 一方、負傷を抱えるU-18日本代表FW染野唯月(3年、鹿島内定)がこの日もベンチスタートの尚志は、「神村は個人技凄くて、捕まえようがない。しっかりブロックをやろう」(仲村浩二監督)ということから、まず守備を重視しブロックを敷いた守りからカウンターを狙う。そして、MF渡邉光陽(2年)のロングスローを含めたセットプレー、またサイドチェンジを交えた攻撃、MF松本岳士(3年)らのクロスで攻め返す。

 加えて、渡邉がワンツーからシュートを放つシーンもあったが、前半は0-1で終了。尚志は後半開始から染野と2回戦で決勝点のMF小池陸斗(3年)を同時投入し、渡邉を最終ラインに下げて攻撃に出る。だが、後半も神村学園がボールを支配。MF加治屋陸(3年)と中島のコンビで右サイドを攻略したほか、濱屋がドリブルで仕掛けて決定的なシュートやラストパスに持ち込んでいた。

 神村学園は守備面でもCBアン・デービッド(2年)が空中戦で奮闘し、左SB下川床勇斗(2年)が相手の突破を阻むなど尚志に決定的なシーンを作らせない。染野が得意の切り返しから放とうとしたシュートにも複数のDFが反応してブロック。一方の尚志も後半17分にGK鈴木康洋(3年)が樋渡の至近距離からのシュートを止めるなど食い下がった。

 そして後半24分、我慢強く戦っていた尚志がクーリングブレイク明けのファーストプレーで同点に追いつく。前線でボールを収めた染野がターンしながらスルーパス。これで抜け出したFW山内大空主将(3年)が、距離を詰めてきたGKよりも一瞬速く左足シュートを放ち、1-1とした。仲村監督が交代を思いとどまり、「(山内)大空の得点力と3年の意地というのを出してもらうために一番前に入れた」と、左SHからFWへ移した山内のゴール。値千金の1点に、尚志イレブンは喜びを爆発させた。

 再び勝ち越し点を目指した神村学園は、37分に中島のアーリークロスを濱屋が巧みに胸で収めてDFの前に出る。だが、左足シュートはわずかに枠右へ。組み立て、崩しの力を発揮していた神村学園は相手の倍以上となる14本のシュートを放ったが、フィニッシュの精度やゴール前での積極性を欠くなど、2点目を奪うことができなかった。

 PK戦では尚志GK鈴木が魅せた。後攻・神村学園の1人目・中島と2人目の交代出場MF大迫魁士(3年)のシュートを連続でストップ。一方、染野、CB中川路功多(3年)が決めた尚志は3人目・小池のシュートがポストを叩く。だが、4人目のMF郡司克翔(3年)が決めると、最後は山内が右足でゴールネットを揺らして8強入りを果たした。

 仲村監督が「(例年の)尚志らしくない」と評した粘り強さが、今年の尚志にはある。2回戦の東海大相模高戦では2度リードしながら、蹴り直しのPKを決められるなど2度追いつかれる展開。それでも、アディショナルタイムの決勝点で勝利し、この日も神村学園にゲームをコントロールされながら粘り強く戦い、PK戦で次のステージへの切符をもぎ取った。

 仲村監督は「本当、昨日も負けゲームかなと思っていた。本当に一日一日成長している」と評した。個々のレベルが高かった昨年は選手権で4強入りし、プレミアリーグ昇格。その代に比べると、劣る部分も多い。加えて、なかなか一体感や守備から戦う意識を継続できない部分があった。

 プレミアリーグEASTでは開幕戦の勝利後、5連敗。それでも、インターハイ予選後は2勝2分と立て直してきた。染野は「忘れていたものを取り戻して、インターハイに繋がっている」と分析する。そして、今大会は「自分たちはそこまで強くないので、チーム全員で勝つことがコンセプト。一人ひとりの良さを出しながら同じ目標に向かっていく。(みんなの闘争心に)火がついたら同じ目標へ向かう」(山内)という良さを発揮。エース染野が万全ではない中、一丸となって勝ち上がってきた。 “尚志らしくない”強さも持って、さらに上へ。福島県勢初の4強入り、そして目標とする頂点まで駆け抜ける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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