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合流即ゴール。ブラサカ日本代表の15歳、園部がさっそくアピール

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園部(ピンク)は一度ピッチに入ると堂々としたプレーを見せた

 ブラインドサッカー日本代表は29日、葛飾区奥戸総合スポーツセンターで行われている強化合宿を2日連続で公開した。8月下旬のイングランド遠征に、日本代表として初めて参加する15歳の園部優月がこの日から合流。チーム内の紅白戦でいきなりゴールを決め、非凡な才能を見せつけた。

 学業のため、27日の日本代表合宿始動から2日遅れての合流した園部は、どこまでも控えめだった。

「僕のシュートじゃなくて、オウンゴールだと思います。僕がワントラップして、コントロールしようと思ったときに、走ってきたハジさん(寺西一)に当たって入ったんじゃないですか。だから今日は1点もとれていない。シュートを何本か打てていますが、まだゴールにつなげていません。ボール(タッチ)の感覚が戻っていなかったので、できるだけ早く戻して、早く活躍できるようにしたい」

 小学5年生の頃から見てきて、2年前から日本代表強化指定選手に選んできた高田敏志監督も言葉を慎重に選びながらも、潜在能力の高さを絶賛した。

「(誇張した言い方をすれば)彼は天才です。なぜなら、教えてもできないことをやれる。技術的には代表選手の中で一番下かもしれない。でもボールを持ったら相手が先輩であろうが関係なくゴールに向かう。その選択をする時点でサッカーに向いています。ゴール目指せ、と言っているのにパスを出してしまう選手はいっぱいいる中で、彼はまず基本はゴールを目指して、今日もパッと来て、パッと(ゴールを)取る。これはなかなか出来ないことですよ。優月(園部)が点を取ったら、俺は入れないかもしれない、という雰囲気が出てくることも大事」

 ゴールデンウィークの時点で園部の体格は身長164㎝、体重46㎏。しかし高校1年生になって、放課後、夜9時まで練習できるようになり、心身ともにたくましくなった。食事の量も増えてきており、体格はまだどんどん良くなるはずだ。


 イングランド遠征に参加すれば、時間は限られても起用されることは確実だ。「外国の選手と本格的に戦うのは初めて。不安とかもありますけど、コート内に入ったら全力でプレーしたい」という園部に対し、高田監督はこんな期待をしている。

「紅白戦とは違う選手たちとやって、彼が何を感じるか。技術的にはやれることは多いかなと感じています。そのプレッシャーに慣れればいい。慣れればできてくるのではないかと思っています。(エースの)川村怜みたいなパフォーマンスは出せ
ないかもしれないけど、ある一定の時間、攻撃のタスクを担ってできるように持っていくのが僕らの責任。彼を評価する根拠を僕ら(日本代表スタッフ)は持っています」

 サッカー界に目を転じれば、1年前の今頃、Jリーグの試合に出ることにも苦労していた当時17歳の久保建英は意識を変え、きっかけをつかみ、今ではレアル・マドリーで試合に出るまでに飛躍した。若い才能が伸びる可能性は無限大。園部がイングランド遠征で「大人」と戦う術を体感できれば、これまで頼りっぱなしだった川村怜や黒田智成に加えて攻撃オプションがひとつ増える。来年、メダル獲得を目指す日本代表にとっても大きな財産になるはずだ。

▼日本代表合宿参加メンバー
GK佐藤大介(たまハッサーズ)
GK高橋太郎(ラッキーストライカーズ福岡)
GK佐々木智昭(コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ)
GK泉健也(free bird mejirodai)
FP川村怜(Avanzareつくば)
FP田中章仁(たまハッサーズ)
FP黒田智成 (たまハッサーズ)
FP加藤健人(埼玉T.Wings)
FP寺西一 (松戸・乃木坂ユナイテッド)
FP佐々木ロベルト泉(Avanzare つくば)
FP佐々木康裕(松戸・乃木坂ユナイテッド)
FP日向賢(たまハッサーズ)
FP 丹羽海斗(free bird mejirodai)
FP園部優月(free bird mejirodai)

(取材・文 林健太郎)

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