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[福島復旧・復興祈念ユース大会]大阪桐蔭がインハイ優勝校撃破。より「賢く」戦う力身につけて秋へ

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大阪桐蔭高(エンジ)が桐光学園高に勝利した

[8.4 福島復旧・復興ユース大会 桐光学園高 0-1 大阪桐蔭高 熱海フットボールセンター]

 震災からの復旧・復興を祈念し、また福島県サッカーの発展と全国各地から参加する強豪校の強化を目指す「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」が今年も福島県郡山市を中心に開催されている。4日にはインターハイ優勝校の桐光学園高(神奈川)と大阪桐蔭高(大阪)が対戦(30分ハーフ)。大阪桐蔭が1-0で勝った。

 1日のインターハイ決勝からまだ3日、桐光学園は先発組の疲労回復と、サブ組の成長を求めてFW西川潤主将(3年)、MF中村洸太(3年)らが遠征不参加。対して大阪桐蔭は「僕たちはインハイの予選で負けて、インハイ出れなかったんですけれども、インハイで優勝した桐光学園とやれてやっぱり燃えるものはあったし、日本一のチームと戦って得るものがあった」(MF才木陽太、3年)という。選手権へ向けて弾みをつけたい大阪桐蔭がインハイ王者から白星をもぎ取った。

 立ち上がりはFWアマダスンマイケル健(3年)とFW庄司朗(2年)の大型2トップを組んだ桐光学園が押し込むが、大阪桐蔭が先制点を奪う。8分、速攻から才木が抜け出し、そのままGKとの1対1を制して1-0。大阪桐蔭は12分にもタイミング良くDF背後を突いた才木のクロスからFW大野幹生(3年)が決定的な右足シュートを放った。

 一方、桐光学園はベンチの鈴木勝大監督から「(攻守の)切り替えが遅い」という声や消極的なプレーへの指摘が多い前半に。1年生MF三原快斗のクロスに庄司が飛び込むシーンもあったが、得点を奪うことができない。

 後半は互いにメンバーチェンジ。桐光学園はともにインターハイで先発を経験したMF所新太郎(3年)やFWラナイメアー祈安(3年)らを投入する。彼らを起点にチャンスも作ったが、大阪桐蔭はCB岡田真知(3年)やMF武田張人(3年)ら中心に守備意識高く、奪ったボールを簡単には失わずに攻め続ける。

 後半、右SBを努めた永野将大(3年)の攻め上がりや大野の好パスなどからチャンス。追加点のチャンスを活かせなかったものの、桐光学園に思うような攻撃をさせず、1-0で勝ち切った。大阪桐蔭は前日に宮城県の気仙沼市を訪問。東日本大震災後、毎年被災地を訪れている同校は防災講話などを聞いて福島入りしていた。

 大野は「今サッカーができていることは当たり前じゃなくて、もっと1日1日大事にしていかないといけない」と語っていた。永野悦次郎監督はその経験を元により、自分主体ではなく、より仲間たちに気遣いながらサッカーをすることを期待。この日は桐光学園に勝利したものの、まだ利己的なプレーをして仲間に迷惑をかけたり、全員で意思疎通しながら守備することも不十分だった。

 今年は特別な選手がいないだけにどこまで質を上げるかが重要。永野監督は「まだ何かが起きてから対応しようとしている。いかに質を上げるか。賢く攻める、賢く守る。チームプレーをしていく中で自分の特長を出してもらいたい」と語った。重視するのはポジショニングだ。仲間を気遣いながら動けば、攻守においてより質の高いポジショニングを取ることができる。それが自分の特長を引き出すことにも、チームを助けることにも繋がる。

 大野は「まだまだ良いポジションに立てていない。もっと相手を見て、相手の視野から消える動きやもっと良いポジションに立って、もっと前を向いてプレーしていかないといけない。まだまだ気づけている選手が少ないので、この夏でもっと強化して強いチームをつくっていかないといけない」と誓っていた。プリンスリーグ関西残留、選手権での日本一が目標。桐光学園に勝利したことを一つの自信に、より質を高めて目標達成を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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