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後半ATに劇的同点弾→まさかのPK失敗…“言い訳”避けた鹿児島22歳FW韓勇太

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鹿児島ユナイテッドFCのFW韓勇太

[8.11 J2第27節 東京V3-3鹿児島 味スタ]

 チームの3点目を決めたが、心に重くのしかかったのは『決め切れなかった4点目』だった。鹿児島ユナイテッドFCは3-3で迎えた後半アディショナルタイム5分、FW韓勇太がペナルティエリア内で倒されてPKを得たが、韓が蹴ったボールは大きく枠外。そのまま試合終了のホイッスルが吹かれ、韓は「自分のせい」と責任を背負った。

 朝鮮大から松本山雅FCに加入して1年目。すぐにJ2の鹿児島に期限付き移籍している立場だが、ここまでチームトップの6得点を挙げてきた。しかし、直近3試合はいずれもベンチスタート。代わりの1トップには本職ではないMF酒本憲幸が入っていることもあり、「正直悔しい気持ちはある」と複雑な内心は隠せない。

「悔しい気持ちをぶつけるというか、今日も自分が入ったら点を取ろうと、結果にこだわってやろうと思っていた。相手がどこであろうと、どういうサッカーをしようと、自分の良さを出そうと意識していた」。

 この日、出番が訪れたのは0-0の後半12分。「テンポ的にはみんなでスイッチ入れて行けば取れるなという感覚があって、一気にプレッシャーをかけにいこうと思った」。そんな韓の投入が合図となり、勢いを加えた鹿児島は後半29分までに2点を先制。そのまま試合終盤を迎え、勝利は決定的となったかのように思われた。

 しかしその後、相手の交代選手MF河野広貴に勢いをもたらされるがまま、後半40分、42分、アディショナルタイム1分に連続失点。韓自身もなかなかボールにアプローチできない中、「2点を先制して、自分がバテたというか足が止まってしまった」ところを突かれる形だった。

 それでも、ここからエースが最低限の働きを果たした。後半アディショナルタイム3分、ゴール前の混戦でこぼれ球を待った韓はアクロバティックなシュートで同点弾をマーク。試合は3-3で終わったため、結果の上ではチームに勝ち点1をもたらした殊勲者となった。

 とはいえ韓の表情は固かった。「勝ち点1は取れたけど、自分たちが欲しいのは勝ち点3であって、そこが取れたにもかかわらず自分のミスで勝ち点1になってしまった。周りからは言われるけど、そこを鵜呑みにして満足したらいけない。自分のせいだと思っている」。悔やまれたのは得点直後の場面だ。

 アディショナルタイム5分、敵陣付近で鋭い出足からボールを奪った韓はかわそうとしたDF近藤直也に倒されてPKを獲得。しかし、自らペナルティスポットに着くも、右足で放ったシュートは大きく枠を外れた。試合はこれがラストプレーとなり、3-3の引き分けで終了。自身の決定機を逸した後悔は拭えなかった。

 試合後、取材エリアでは「足にきていた?」という問いに「それは言い訳になるので」と否定した韓。「取った時点でバテていて休もうとは思ったけど、いつもどおり蹴れば入るかなという気の緩みがああいう形になってしまったと思っている」と述べ、「自分と向き合えばちょっとしんどかった」としつつも、蹴った選択には後悔はなかった。

「あそこでどんな状況であれ、次も僕が出ている限りは自分が蹴ると思うので、どんな状況でも決められるように、トレーニングからしっかりやって対応できる準備をしていれば何も問題はなかった。そこは自分のせい」。自らのコンディションを言い訳にするのではなく、それにも適応していくという気概だ。

「プロである限りは結果が全て。結果が残せなかったという点ではまだまだ」。試合をそう総括した22歳は残留争いに沈むチームを救うべく、「自分はまだ山雅でプレーしていないし、ここが初めてのクラブだと感じているし、愛着はある。チームが沈む時には自分も沈む。かといって沈んでばかりはいられない。FWとしてエースと呼ばれて、エースになるんだという気持ちがあるので、悪い雰囲気をプレーで挽回したい」と意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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