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パラリンピック開会式まであと1年。日本ブラインドサッカー協会が代表強化を目的にした寄付受付を開始

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イングランド遠征に向かった日本代表

 日本ブラインドサッカー協会(JBFA)は、東京2020パラリンピック開催1年前となる25日から、JBFAの個人寄付会員制度「ブラサカみらいパートナー」を通じて、「男子日本代表の東京2020パラリンピックでのメダル獲得応援」を目的とする寄付の受付を新たに開始した。

「ブラサカみらいパートナー」では、「視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会の実現」というビジョン実現に対する寄付を募ってきたが、今回はそこに新たな寄付の選択肢が加わった。

 来年のパラリンピックで初出場でメダル獲得を目指す日本代表は24日にイングランド遠征にむけて出発した。2015年にリオデジャネイロ五輪への出場を逃し、その後、就任した高田敏志監督のもと、サッカースタイルを大きく変え、主力の大半が40歳前後選手にもかかわらず、パフォーマンスを上げて、ワールドグランプリでもベスト4に入った。選手個人も、チームも確実に成長はしてきているが、国際大会の公式戦でまだ優勝実績がない。関係者によると今年度からブラサカ日本代表に対する国からの助成金が下がり、結果的に強化費にしわ寄せが出てきている。外部から招いている優秀なコーチ、スタッフが受け取る日当は1万円を大きく下回っており、オリンピックでのメダルを獲得を厳命されながら、それに見合う報酬を現場は受け取れていないのが現状。今回の寄付増設にはそんな背景もある。

 日本ブラインドサッカー協会は企業からのスポンサー収入に加え、企業研修等で混ざり合う世界を体験してもらうダイバーシティー事業や、ブラインドサッカーの要素を用いた多様性教育プログラム「スポ育」などにも積極的に取り組み、2010年から実施している「スポ育」などは今年3月までの集計で3092件、授業を体験した生徒の数は累計13万人を突破した。取り組みの価値は確実に浸透してきているが、2020年のパラリンピックを終えた後、今と同じペースで増やせるかは未知数。スポンサー収入も震災など社会情勢によって左右される可能性を常に秘めており、協会としても2020年のパラリンピック以降も安定的に確保できるような収入源、収入体系を模索している。

 「ブラサカみらいパートナー」は、特典をフックとしたファンクラブではなく、個人の方からの寄付のみをベースとしており、寄付を希望する人は、目的別に「ビジョンの実現」と「代表のメダル獲得応援」から選ぶことが可能。2020年9月末までに新規1000人が目標。会員が月額の寄付額を1000円、2000円、3000円が用意され、継続的に寄付できる仕組みをとっている。「代表のメダル獲得応援」で集まった寄付金は、ブラインドサッカー男子日本代表の強化のための海外遠征の回数増加や最先端のトレーニング、コンディショニング、スタッフの導入などに費用に充てられる。

 単純比較はできないが、デフフットサル日本代表が11月にスイスで行われるワールドカップの遠征費2000万円を確保するために5月末から2か月間クラウドファンディングを実施したが、支援者は726人、募金総額は約455万円にとどまった。寄付金はクラウドファンディングより継続性があるため、一般の方が「ぜひお金を出したい」という魅力をどうやって打ち出していくかが課題となりそうだ。

 7月下旬。都内で行われた日本障がい者サッカー連盟のスポンサー報告会に出席したスポーツ庁の幹部は「障がい者のスポーツ団体の中でも、サッカーの取り組みが一番進んでいる。学ぶことが多い」と明かした。日本障がい者サッカー連盟に加盟する7団体をリードする存在の日本ブラインドサッカー協会の取り組みは、障がい者スポーツ全体の今後の地位向上の問題にも関係してくる。寄付をどう集めるか、収入体系をどう作るかは、他のスポーツ団体も注目している。

1.JBFAビジョン実現に関する寄付サイト
2.日本代表応援に関する寄付サイト

(取材・文 林健太郎)

●ブラサカ/障がい者サッカー特集ページ
●日本障がい者サッカー連盟(JIFF)のページはこちら

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