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「初戦を勝てば世界が変わる」後半44分からの逆転劇!昨年4強中京大が大経大撃破!!

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中京大が劇的な逆転勝ちを飾った

[8.29 総理大臣杯1回戦 大阪経済大1-2中京大 ヤンマースタジアム長居]

 第43回総理大臣杯の1回戦が29日にヤンマースタジアム長居で行われ、大阪経済大(関西3)と中京大(東海3)が対戦。後半終了間際にマークしたMF加藤弘也(3年=中京大中京高)のゴールで中京大が2-1で勝利した。9月1日(日)の2回戦では順天堂大(関東6)と対戦する。

 相手は1部に昇格したばかりながら、激戦区・関西を勝ち抜いた大経大で力の差が無いと言えば嘘になる。特に体格差は歴然で、永冨裕也監督は試合後に「試合前に並んだ際にうちはやっぱり小さいなと思った」と笑った。加えて、昨年の大会でインパクトを残したエースFW東家聡樹(4年=福岡U-18)がスタメンを回避するなど、怪我で出られない主力も少なくなかったが、序盤から突破力のあるMF久保藤次郎(2年=帝京大可児高)と西口黎央(4年=興國高)の両翼がサイドを突破。「大経大は真ん中に強い選手が多かったので、空くのはマイナスかなと思っていた」と話すMF辻泰志(4年=奈良育英高)と加藤弘也(4年=中京大付属中京高)が3列目から前方に顔を出し、ゴールを狙ったが、鋭い反応を続けたGK田中大智(3年=興國高)に阻まれ続けた。

「前半はチャンスも作れたし、決定機も数本あったけど、決める力がなかった。7、8月に行った練習試合でも決め切れば勝てていた流れで失点し、負ける試合を繰り返していた」。そう永冨監督が振り返る通り、前半の流れは中京大にとって負けパターン。実際、前半終了に2トップを入れ替え、攻撃のギアを入れた大経大に押し込まれる場面が後半からは増え、後半17分にはGKのクリアミスをFW植村宥紀(3年=大阪産業大附属高)に決められてしまった。

 追いかける展開を強いられた中京大だが、「前半は点が獲れなかったけど、いつかは獲れるだろうという自信があった。失点してからは雰囲気をどうするかが大事なると思った」というMF辻が特徴である声出しと気迫溢れるプレーでチームを盛り上げ、下を向かない。途中から入った東家を中心に攻撃で盛り返すと、ピンチを救ったのは大阪出身で凱旋試合となったDF水口湧斗(1年=履正社高)だった。本職はCBだが、前日のトレーニングでパワフルな大経大FWを想定した役割として水口をAチームに当てた所、思いのほかハマった。高校時代は前線のポスト役として試合に出たこともあるため、後半39分にパワープレー要員として前線に投入。起用は見事に当たり、44分にはMF西口黎央(4年=興國高)の左CKを頭で叩き込み、試合を振り出しに戻した。

「90分以内に試合を決めるようと思っていた」(辻)中京大の攻撃はアディショナルタイムに入ってからも衰えない。45+5分には右の東家から中央にパスが渡ると、受けた加藤がドリブルでゴール前へ。思い切りよく振りぬいた一撃がゴールネットを揺らし、逆転に成功すると直後に試合終了の笛が鳴り響いた。

 劇的な勝利を掴んだ中京大だが、夏休み前に行った遠征では怪我人が多かった影響もあり、勝利が少なくチームの雰囲気は決して良くなかったという。だが、試合前日になってから踏ん切りがついたこともあり、ようやくチームの雰囲気がよくなった。「初戦は大事になる。ここで勝てば世界が変わるから絶対に勝とうと話していた」(辻)こともプラスに働き、この日はウォーミングアップから良い雰囲気を作れていたという。昨年も初戦で逆転勝ちをして勢いに乗り、準決勝までたどり着いた。苦しみながら切ったスタートは昨年同様で、今年も同じストーリーを描くつもりでいる。「昨年同様チャレンジャーとしてやれるかが重要になれる。劇的な勝ち方をしたので、勢いを失わず戦いたい」と永冨監督が話すように、勢いのまま次戦は難敵・順天堂大に挑む。

(取材・文 森田将義)
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