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ポルトガルで奮闘中のFW前田大然…「指示を出しても分からないだろう」からの脱却

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U-22日本代表FW前田大然

 今夏ポルトガルに新天地を求めた。リーグ戦4試合に出場するだけでなく、初ゴールを記録するなどチーム内での存在感を高めるFW前田大然(マリティモ)が、移籍後初となるU-22日本代表合流を果たし、生き生きとしたプレーを見せている。

 4日に行われた地元クラブのセラヤFCとの練習試合(25分ハーフ)の2本目に登場した前田はシャドーの位置に入ると躍動。開始わずか2分、MF安部裕葵(バルセロナ)のパスを受けると、スピードに乗った突破で相手選手を振り切ってフィニッシュまで持ち込むなど、自慢の快足を生かしたドリブルで好機を創出し続けた。

「ポルトガルリーグは攻撃的なサッカー。一人で行く選手がチームの中にもいっぱいいる中でしているので、そういうプレーが出せているのかなと思う」

 ポルトガル移籍後は言葉の壁に苦しみ、「指示を出しても分からないだろうという感じで、戦力として見られていないと自分の中で感じた」こともあったようだ。通訳をつけていないため、自身で勉強するしかなかったが、「言っていることは大体同じなので、何を言っているかを覚えて家に帰って調べたり、日本語を教えてほしいというブラジル人がいるので、こっちが教えたり、向こうに教えてもらったりしている」と少しずつ言葉を覚え、「何とかやれている」状況になったと笑う。

 言葉を覚えてコミュニケーションを深めるだけでなく、ピッチ上で自身の価値を示すことで環境も変わっていったようだ。「試合をするまでは全然相手にしてくれなかったけど、プレシーズンマッチをこなすことで周囲の目が変わってきた」。そして、初先発を飾った8月25日の第3節トンデラ戦で移籍後初ゴールを奪うと、続くパソス・デ・フェレイラでは初のフル出場を果たすなど、自身の存在価値を高めている。

 U-22日本代表に合流し、「指示が日本語でストレスを感じない(笑)」という中、セラヤFC戦では好機に顔を出し続けたが、ゴールという結果を残すことはできずに「僕の課題はやっぱりそこだと思う」と唇を噛む。

「落ち着いたらと言われることもあるけど、スピードに乗った状態では結構厳しいと感じている。でもスピードに乗った状態で態勢が崩れていても決め切るというのは大事になってくる」

 翌6日にはU-22メキシコ代表との親善試合が行われる。「明日の試合もチャンスは来ると思うので、そこで決め切ることが大事。課題を克服して一皮むけるためにも、まずは明日の試合で点を決めたい」と力を込める。U-22日本代表の活動後、勢いに乗ってポルトガルに戻るためにも、結果をきっちりと残したいところだ。

(取材・文 折戸岳彦)

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