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「泉対決」を制した! 日本代表候補の守護神がロシア遠征から持ち帰った「お土産」

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[9.8 ブラインドサッカー東日本リーグ free bird mejirodai 0-0 パペレシアル品川](慶大・日吉グラウンド)

 ブラインドサッカー東日本リーグが8日、開幕。今季から新規参入し、川村怜ら日本代表選手を3人そろえるパペレシアル品川と、7月のクラブ日本一を決める「アクサブレイブカップ」で準優勝したfree bird mejirodaiの注目の対決は両軍譲らずドロー。8月に日本代表強化指定選手に昇格したばかりの泉健也のファインセーブが光った。

 その瞬間、「ヨッシャ」という雄たけびがあがった。0-0のまま迎えた残り22秒。反則が重なり、相手に第2PKを与える。品川のキッカーは日本代表の佐々木ロベルト泉。対峙したのはfree bird mejirodaiの泉。反応よく左に飛び、ボールをはじいた。「泉対決」を制し、勝ち点1をもぎとった。泉健也が振り返る。

「あそこは絶対に止めてやろうと。6メートルより距離が遠い位置でからのキックについては僕は反応できる自信があります。なので、(コースを読んで)先に動くのではなく、反応で止めようと思っていました」

 8月21日~28日まで、将来の日本代表候補が集まるナショナルトレセンのロシア遠征が行われた。そこに泉は帯同。ロシア代表戦も含む4試合を戦い、1勝もできなかったが、泉はロシア代表のGK練習に混ぜてもらい、「構え」を変えるヒントをもらい、この日のファインセーブにつなげた。

「日本と違って、(ロシアの選手は)シュートの角度が高く、真上に突き刺さるシュートが多いんです。僕はもともとサッカーをやっていて、手を下にして構える習慣がありありました。でも人間、上から下に動かすのは速く動かせますが、下から上へ動かすのは遅くなる。ロシアのコーチの方にも『胸のあたりで(手を)構えておけば、すぐに行けるだろ?』と言われました。その点は日本代表の高田(敏志)監督からも言われていたポイントでしたが、定着していなかったんです」


 個人技術だけでなく、声によるチーム連係も向上させていた。パペレシアル品川には、川村、佐々木に加えて、寺西一もいる。相手に不足はないが、味方にも8月下旬に行われたイングランド遠征に日本代表として参加した16歳の園部優月や丹羽海斗ら若手の成長が著しい。

「7月にアクサ杯の決勝で1-7で埼玉T.Wingsに大敗したときは、僕の指示があいまいになってしまい、相手のボール保持者に対し、最初に誰が行くかという点で選手同士が譲り合ってしまった。その反省を生かして、誰が最初にボールにあたるのか、はっきり指示してあげることを意識しました」

 認知能力の高い丹羽や日本代表経験のある鳥居健人らに前もって明確な指示を出すことによって、ピンチの芽をつむスペースを消し、川村や佐々木に自分の間合いでシュートを打たせないことにつながった。

「ロシア遠征の最終日には授業がはじまっていたんですが、それでも職場(豊南高校教員)も快く送り出してくれました。ナショナルトレセンに来るまでに僕を支えてくれた方もいて、そういう人のためにも代表に選ばれたいです」

 絶対的な守護神、佐藤大介を筆頭に、高橋太郎佐々木智昭とライバルは多いが、泉は目の前のボールを止め続けることでチャンスをつかみに行く。

(取材・文 林健太郎)

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