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FW清水2発!仙台ユースが仙台育英との大一番制し、プレミアプレーオフ出場を決定的に

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大一番勝利を喜ぶベガルタ仙台ユースの選手たち

[9.23 プリンスリーグ東北第17節 仙台ユース 2-0 仙台育英高 仙台育英高多賀城校舎]

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ東北は23日、第17節が行われ、3位のベガルタ仙台ユースと4位の仙台育英高が対戦。勝者がプレミアリーグプレーオフ出場に大きく近づく大一番は、FW清水一雅(3年)の2ゴールで仙台ユースが勝利し、プレーオフ出場をほぼ決定的なものにした。

 東北地区のプレーオフ出場枠は2枠。21日の第16節を終了し残り2試合となった状況で、1位の青森山田高セカンド(プレーオフ出場権無し)が勝ち点42、2位のモンテディオ山形ユースが勝ち点36、3位の仙台ユースが勝ち点32、4位の仙台育英も勝ち点32で並んでいた。2位の山形ユースは、この時点で最低でも3位以上になることがほぼ決定(今節第17節で正式に決定)しており、残り1枠を仙台ユースと仙台育英で争う状況になっていた。

 仙台ユースと仙台育英は勝ち点で並んでいるが、得失点差が9離れており、仙台ユースはこの試合に勝てば最終節で敗れたとしても5回目のプレーオフ出場がほぼ決定的な状況となる。引き分けならば最終節の勝敗によって決定、仙台育英が勝てば、最終節・学法石川高戦で勝ち点1以上取れば初のプレーオフ出場となる。

 このような状況で迎えた一戦だったが、前半ペースを握ったのは仙台ユースだった。11分、本来はボランチだが、この日トップ下としてプレーしたMF工藤真人(3年)がルーズボールを拾って、DFラインの背後に抜け出した1トップのFW清水へパスを送る。「上手くDFラインの裏に出してくれて、ちょうどタイミングが合った」という清水の放ったシュートは一度は仙台育英GK佐藤文太(3年)に弾かれたが、こぼれ球をもう一度押し込んで先制した。

 勢いに乗る仙台ユースは39分、U-17日本代表選出経験を持つ右サイドハーフMF鈴木史哉(2年)のクロスにニアサイドで待っていた清水がヘディングで合わせて2点目。「シュートコースがあまり無くて難しかった」と語る清水だが、きっちり決めきって、前半は2-0と仙台ユースリードで終えた。

「ゴール前へのクロスやシュートを増やさないと点は入らないと思い、思い切って3人入れ替えた」という仙台育英・城福敬監督は、後半開始時に一気に3人を交代させた。そのうちの1人で右サイドハーフに入ったMF明石海月(1年)がドリブル突破とクロスから何度か決定機をつくるが、仙台ユースはU-18日本代表GK小畑裕馬(3年)を中心に安定したディフェンスではね返し、ゴールを許さなかった。最後までディフェンスの集中を切らさなかった仙台ユースはこのまま無失点で逃げ切り、2-0で勝利し、勝ち点を35に伸ばした。

 仙台ユース壱岐友輔監督は、2日前の前節・遠野高戦で0-2と敗れた直後、選手たちに「今日の悔しい思いを払拭するには、次の試合に勝つ事。頭を切り替えて次の大一番に挑もう」と語り、この一戦に向けて選手たちの気持ちを一つにまとめて「前節の敗戦からメンタルを立て直せた」と勝因を語った。

 GK小畑も「チーム一丸となって勝利をつかめて良かった」とチームの一体感を取り戻せたことを勝因の一つに挙げた。また、壱岐監督は「前節、前線でボールロストが多かったので、工藤真人を前のポジションでトライさせた」と語り、工藤をトップ下で使うことで、前線でのボールのおさまりを改善できたことも大きかった。

 仙台育英との勝ち点差を3、得失点差を13に広げたことで、仮に最終節敗れて、仙台育英が勝利し、勝ち点35で並ばれたとしても、得失点差の逆転は難しいため、リーグ3位以上、プレーオフ出場権獲得はほぼ決定したが、小畑は「もし仙台育英が大量得点して、こちらが大量失点したら入れ替わる可能性もあるので、気を引き締めて次節に臨みたい」と気を緩めず最終節に臨む構えだ。

 一方、プレーオフ出場がほぼ絶望的となった仙台育英・城福監督は「ここまで仙台ユースと良いプレーオフ出場争いができていたのに、早い時間で失点し、どっちに転ぶか分からないゲームができなかった。もっと白熱した戦いにしたかったが、消化不良だった」と前半早い時間帯での失点で、ほぼ試合の流れが決まってしまったことを悔やんだ。キャプテンのDF小林虎太郎(3年)も「前半はセンターバック4枚のチャレンジアンドカバーの関係が作れず、2失点目は前節青森山田セカンド戦と同じようにクロスから失点してしまった」と守備の連係が上手くいかなかったことを反省した。

 それでも、チームとして今年初めて本格的にプレーオフ出場争いができたことは、高校サッカー選手権宮城県予選に向けて大きい。「DFはゼロで抑えきるところ、FWは決めきるところ、全体としては個で負けない強さといった、今できていないところを修正していきたい」と小林は、選手権に向けてこのリーグ戦での経験を生かそうと意気込んだ。

(取材・文 小林健志)
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