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FIFA最優秀ゴールは18歳のプロ初弾! ハンガリー首相も歓喜したその理由は?

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FWダニエル・ゾーリ

 国際サッカー連盟(FIFA)は23日、年間で最も優れたゴールに与えられるプスカシュ賞を発表し、ハンガリー国籍のFWダニエル・ゾーリ(18)が初の栄誉に輝いた。試合終了間際の豪快なオーバーヘッドシュートで歴代11人目の受賞者となった同選手だが、この賞は母国にとっての悲願でもあったようだ。

「プスカシュ賞が帰ってきた」。受賞が決まった後、ハンガリーのビクトル・オルバン首相は自身のFacebookページで喜びを表現した。もっとも2009年に創設され、過去にはFWクリスティアーノ・ロナウドやFWズラタン・イブラヒモビッチら錚々たるメンバーが受賞してきた同賞。ハンガリー国籍選手の受賞はもちろん史上初めてだ。

 それでも、プスカシュ賞は「帰ってきた」。なぜなら賞のモデルはハンガリー代表の英雄FWフェレンツ・プスカシュ。1950年代に「マジックマジャール」と称された同国代表のエースで、名門レアル・マドリーで主力を担った伝説的アタッカーをもとに命名されたものだからだ。

 プスカシュは超絶技巧の左足でさまざまなビッグタイトルを席巻し、1952年のヘルシンキオリンピック金メダル、1954年のスイスW杯準優勝を牽引。ハンガリー動乱による亡命を経て、R・マドリーで3度の欧州制覇を経験した。晩年にはスペイン代表でチリW杯に出場するなど、波乱万丈のキャリアを送ったことでも知られている。

 引退後は欧州だけでなく、北米やアジアなどさまざまなリーグ、代表チームの監督を歴任。2006年に79歳で死去した。3年後の09年、ハンガリーが中心となって同賞が創設。それから11年、同じハンガリー国籍の選手が初めて英雄をルーツとする賞を獲得した。それもリーグデビュー2試合目という18歳の新星が栄誉をもたらした。

 2000年生まれのゾーリはデブレツェニ所属時代の今年2月16日、フェレンツバーロシュ戦の後半アディショナルタイムに左サイドからのクロスを豪快なオーバーヘッドシュートで合わせ、チームを勝利に導く決勝ゴールを記録した。これが自身初ゴールというだけでなく、共にノミネートされたFWリオネル・メッシらを押しのける「世界一のゴール」となった。

 FIFAの年間表彰式『The Best』の壇上に立ったゾーリは「初めてこの賞をもらえるハンガリー人になれて、僕にとっては素晴らしい栄誉だ。この賞はハンガリー史上、最も素晴らしいサッカー選手の名がついているから」とスピーチ。式典後は報道陣に「このままカメラに映っていたら、心臓がシャツから見えてきたはずだよ」と冗談もこぼしたという。

 なおゾーリは今季、ハンガリーの強豪フェへールバールに移籍。UEFAヨーロッパリーグ予選に出場するなど、ステップアップを果たしている。

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