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[関東]優勝翌年降格の負の歴史をもう繰り返さない…早稲田は“歴史的残留”を目指す

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早稲田大が残留へ向け大きな勝ち点3を手にした

[9.28 関東大学L1部第14節 駒澤大1-2早稲田大 葛飾区奥戸総合スポーツセンター]

 早稲田大駒澤大に2-1で競り勝ち、後期リーグ初勝利を挙げた。勝ち点は14に伸び、残留争いの中で大きな勝ち点3を奪った。

 負の歴史は繰り返さない。昨季、27回目の関東リーグ制覇を飾った早大だが、うち24回は元日本代表監督で現タイ代表監督の西野朗氏らが在学した1976年以前のもの。次の優勝は現指揮官の外池大亮監督が4年生だった1996年までない。そしてその次は2015年と、昨年優勝を飾るまでは約20年おきの優勝になっていた。

 さらに近年は優勝した翌年のジンクスが早稲田を苦しめている。96年の優勝翌年は7位(8チーム制)で2部に降格。そして15年の翌年も11位で降格の憂き目に遭った。「我々は歴史的残留を果たさないといけない」。外池監督は「優勝した翌年に落ちる弱さが早稲田の本質。こういう時こそ伝統と歴史を感じながらやることが大事」と強く感じているという。

 負の歴史を打破するという意味では、この日の駒大戦は強く意識していた一戦だった。優勝した昨年、年間を通して唯一勝てなかった相手が駒大だったからだ。そこで高さと前への推進力に特長を持つ駒大サッカーへの対策として、戦い方を徹底。故障明けのFW加藤拓己(2年=山梨学院高)を先発に抜擢し、とにかく相手と競り合うように指示。FW杉田将宏(2年=名古屋U-18)、FW鈴木郁也(3年=FC東京U-18)らとのコンビネーションで得点を奪いに行った。

 狙いは的中した。スコアレスで折り返した後半3分、右サイドからDF大里優斗(4年=鹿島ユース)が蹴ったCKに飛び込んだ加藤が頭で叩き込んで先制点を奪う。直前に選手間で話し合い、加藤の入るポジションを入れ替えていたことも幸い。加藤自身、高校2年生以来だというCKを合わせたヘディング弾で結果を残す。

 さらに後半9分には加藤と杉田のコンビネーションからゴール前で混戦が生まれると、MF栗島健太(4年=流通経済大柏高)が蹴り込んで追加点が生まれる。「メンバー選考はかなり悩んだが、攻撃のテンポに関しては、加藤と鈴木、杉田の3人に託していた」という指揮官の狙いがドンピシャに当たった。

 苦しんだ前期だったが勝ち点は10。10位ながら何とか降格圏と差をつけた形で折り返すことが出来た。外池監督は「高い目標を掲げることもいいが、目の前の状況を捉える力も生きていく上では必要になってくる」と、後期の目標を勝ち点15に定めている。これは過去8年間の残留圏の勝ち点が21~24を推移していることで、勝ち点25を挙げれば残留に届くという計算からだ。

 長い歴史と伝統を持つ早稲田にあって、改革を進めることは簡単なことではない。外池監督自身もそれを重々に理解した上で臨んでいる。「去年優勝したからもっと出来るんじゃないかという中で、迷い込んでしまったんだと思う。それを紐解いていくことも、今をア式で生きる選手の使命だと思っています」。今季の早稲田は新たな歴史を作る“チャンス”と向き合っている。

 一方の駒大は2点ビハインドの後半38分にエリア内に侵入したMF中間俊亘(3年=瀬戸内高)がDF杉山耕二(3年=三菱養和SCユース)と交錯したことでPKを獲得。これをFW高橋潤哉(4年=山形ユース)が決めて1点差に詰め寄る。さらに同43分には左サイドを抜け出したMF米田大介(3年=浦和東高)が左足で強烈なシュートを放つ。しかしクロスバーをかすめて外れてしまい、同点弾にはならなかった。後期1分2敗となった駒大。上位争いに踏みとどまるためにも、まずは早めに勝ち点3が欲しいところだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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