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「オール東京」で強化してきた東京都が前回準Vの石川県に3-0快勝!

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前半22分、東京都FW野澤零温(FC東京U-18、左)が先制ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[9.30 国体少年男子2回戦 石川県 0-3 東京都 高松緑地多目的球技場(人工芝)]

「オール東京」で戦う東京都がタイトル奪還へ向けて快勝発進――。第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は30日に2回戦を行い、前回大会準優勝の石川県と東京都の一戦は、FW野澤零温(FC東京U-18、1年)の2ゴールの活躍などによって3-0で東京都が勝利。東京都は10月1日の準々決勝で静岡県と戦う。

 東京都が初戦を突破した。主将のMF谷村峻(FC東京U-18、1年)らFC東京U-18に所属する8選手が先発起用された東京都は、判断よくパスを繋ぐMF梶浦勇輝(FC東京U-18、1年)や谷村を中心に序盤からボールを支配。テンポ良くボールを繋ぎ、50m走5秒台の快足FW横山歩夢(東海大高輪台高2年)のスピードや右SB宮下菖悟(FC東京U-18、1年)の攻め上がりも交えた攻撃で石川県ゴールを目指す。

 前半15分には右CKのこぼれ球をフリーの横山が決定的な右足シュート。これが枠を外れるなど、ラストの精度を欠いた部分もあったが、21分に先制点を奪う。谷村の右クロスをファーサイドでフリーのFW須藤太一(三菱養和SCユース、1年)が頭で逆サイドへ折り返すと、最後は野澤が頭でゴールに押し込んだ。

 対して、金沢U-18の9名を先発起用した石川県は、25分にFW平川悠人(金沢U-18、1年)とMF山口伊歩輝(金沢学院高1年)の2人で強引にボールを前に運んで山口が左足シュート。司令塔のMF不野優聖(金沢U-18、1年)やFW千葉大護(星稜高2年)を軸にボールを動かして反撃する。

 だが、「ゴールを目指す、ボールを奪うということを意識付けてきた」(北慎監督、FC東京U-15むさし)という東京都は、前線からの献身的なプレスバックで相手の攻撃を限定。そして、出足の速いMF加藤大地(FC東京U-18、1年)やCB中野創介(FC東京U-18、1年)がボールを奪い、GK奥谷将(修徳高1年)も安定した守りを続けるなど相手に決定打を打たせない。

 そして前半31分、東京都は中央の須藤が右サイドへ展開。野澤が中央へ折り返したボールが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得した。このPKを野澤が冷静に右足で沈めて2-0。石川県は187cmのU-16日本代表CB波本頼(金沢U-18、1年)とCB吉村侑大(金沢U-18、1年)中心に我慢強く戦っていたが、2点を追う展開となった。

 その石川県は後半12分に2選手を入れ替え、不野とMF橋田一徹(金沢U-18、1年)を前線へ。攻撃に変化を加えようとする。だが、東京都はCB小林慶太(FC東京U-18、2年)がスライディングタックルを決めたり、左SB石井玲於奈(FC東京U-18、1年)が1対1で強さを発揮するなど隙を見せない。

 後半も須藤のドリブルや横山のスピード、ドリブルシュートで相手を押し下げていた東京都は34分、交代出場のFW米陀大洋(FC東京U-18、1年)のループパスからMF小松譲治(國學院久我山高1年)がダメ押しゴールを決めて3-0。北監督はボールを奪う部分に対して満足していなかったが、前回準優勝の石川県相手に快勝を収めた。

 今年の東京都について、北監督は「たくさんのチームが協力してくれて、日々切磋琢磨している。活動を広くやってこれたのは、『オール東京』の特長かなと。ラージグループで競い合うことができた」と説明する。最終的にメンバーはFC東京U-18所属の選手が多くなったが、Jクラブ、街クラブ、高体連の協力もあり、メンバーを固定することなく、例年以上に長い期間、多くの選手の競争から16名を決めることができたという。

 その中で、中学時代には地区トレセンにも入っていなかったというFW横山や中体連出身のGK奥谷も選出され、全国大会で堂々のプレー。圧倒的なスピードでフィフティボールに追いつき仕掛けていた横山が、「自分の特長はスピードなので、きょうはそこを存分に行かせたと思います。いつも通りやれば、全国でも通用すると思っている」と語ったように、首都・東京の熾烈な競争を勝ち抜いてきた選手たちは自信を持って、その力を大舞台で証明している。

 今回、DF森田翔やMF安田虎士朗、DF大迫蒼人(いずれもFC東京U-18、1年)というトップクラスのタレントがJ3出場や怪我のために参加が見送られたが、「いなくても勝てるよ、というところを見せたいと思います」(野澤)というように、エネルギーに変えてタイトルを取りに行く構えだ。

 北監督は「今回、7回目の優勝を目指して、国体のチームだけでなく、東京都として、協会、チーム、スタッフ一致団結して取りに行くぞ、と話しています」と語り、横山は「東京を代表して、優勝するというところが目標なので、明日もしっかり準備していつも通りに臨んでいきたいと思っています」と力を込めた。「首都・東京」のプライドも持って戦う東京都が、6年ぶりに国体タイトルを奪還する。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

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