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6発!ゴールとボール奪うことを強調して戦う静岡県が山口県の進撃止めて決勝へ!

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前半25分、静岡県はMF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18)が決めて3-0。松田はバースデーゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子準決勝 静岡県 6-1 山口県 新浜緑地多目的球技場]

 ボールを奪う、ゴールを奪う力で差をつける静岡県が決勝進出! 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は2日に準決勝を行い、通算21回目、国体のU-16化以降初となる単独優勝を狙う静岡県と49年ぶりの4強入りを果たした山口県が激突。6-1で静岡県が勝ち、広島県との決勝(10月3日)へ進出した。

 試合は開始1分にいきなり動いた。静岡県は前線から思い切ってプレッシャーをかけると、U-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース、1年)が相手GKからインターセプト。そして、無人のゴールに右足シュートを流し込んだ。立ち上がりのビッグプレーで静岡県が先制した。

 千葉は得点ランキング首位を独走する7得点目。「最初から積極的に行った結果が得点に繋がったと思います」というエースのゴールで静岡県は勢いを増した。「自分も点が欲しかったんですけれども、守備をずっと続けていれば自分にもこぼれてくると思って走りました」というFW杉本大雅(沼津U18、2年)をはじめ、前線からボールを奪いに行くディフェンスを継続。山口県を飲み込もうとする。

 そして11分、静岡県はMF藤原健介(磐田U-18、1年)の右CKに身体を投げ出して飛び込んだ杉本が合わせて2-0。さらに25分には、千葉とのワンツーで抜け出したMF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18、1年)が左足でバースデーゴールを決めた。

 毎年のように技術レベルの高さを印象づけている静岡県だが、近年は試合を優位に進めながら惜敗するなど結果が出ていなかった。その時には感じられなかったようなボールを奪いに行く迫力や、ゴールへ向かう姿勢が進撃の原動力になっている。村下和之監督(沼津西高)が強調するのも、「(将来のプロや世界を見据えて)ボールをどんどん奪って、それをまた走って攻撃に繋げられる選手にならないといけない」という部分だ。

「(もちろんボールを動かす部分にも注力しているが、) 何よりもゴールを奪うというところ、ボールを奪うというところを意識しようと。サッカーの根本的なところを静岡としても大事にしなければいけないんだと。まず、自分たちができるのはアグレッシブな守備からボールを奪って、それを攻撃に繋げようとか、切り替えを日本一速くしようとか、子どもたちが一生懸命走り回ってくれるので、そういうところがまたゲームに上手く出ているなと思っています」。V候補の大阪府を破るなど快進撃を続けてきた山口県の勢いを上回った静岡県が前半で3点をリードした。

 だが、山口県も諦めずに3点を奪い返しに行く。運動量の多さとボランチの位置から繰り出すドリブルが光るMF末永章太郎(高川学園高2年)やハードワークを続けるMF柳井敦志主将(山口U-18、2年)、CBの位置からスプリントして攻め上がる田中誠太郎(高川学園高2年)を中心に前へ出て真っ向勝負。それに対して静岡県は7分、藤原のスルーパスで抜け出した千葉がPKを獲得し、それを右足で決めて4-0とする。

 山口県は14分、右サイドからのパスワークでボールを受けたU-16日本代表FW河野孝汰(山口U-18、1年)がDFをかわして左足シュート。1点を奪い返す。山口県は静岡県MF藤原にポスト直撃のシュートを放たれるシーンもあったが、逆に右SB吉田光(山口U-18、2年)が強烈な右足ミドルを打ち返すなど、諦めない姿勢を持って戦い続けた。

 だが、静岡県の守りは中盤で存在感を放つU-16日本代表MF東廉主将(清水ユース、2年)や高さを発揮するCB田端琉聖(清水ユース、1年)、CB菊地脩太(清水ユース、1年)を中心に堅い。そして、交代選手が意欲的なプレーを見せる静岡県は31分、左サイドから縦に仕掛けたMF熊取谷一星(浜松開誠館高2年)が左足でゴール。アディショナルタイムにも東のラストパスからMF金子星太(清水ユース、1年)が決めて6-1で快勝した。

 静岡県は前日サブだった藤原やMF清水和馬(静岡学園高1年)、松田、杉本が攻守に奮闘。ベンチスタートの選手も短い出場時間で結果を残すなど、総合力の高さを示している。千葉は「チームは試合を重ねるごとに良くなっていますし、みんなが自信を持ってやれて結果も出ている。だからこそ、こういう見ていてワクワクするようなサッカーができていると思います」と胸を張った。

 ただし、満足感はない。静岡県が目指しているのは国体のU-16化以降初となる単独優勝だけだ。藤原は「まだ何も成し遂げていないので、最後まで集中して勝利を勝ち取りたいです」と宣言。あと1試合、最高の準備をして、王国・静岡がタイトルを奪還する。

(取材・文 吉田太郎)
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