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攻守にアクションし続けた広島県が3年ぶりVに王手!歴史変えた香川県の進撃はストップ

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後半8分、広島県はDF豊田将大(広島ユース、右端)が貴重な追加点。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 攻守にアクションし続けた広島県が決勝進出! 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は2日に準決勝を行い、3年ぶりの優勝を狙う広島県と初の4強入りを果たした香川県が対戦。広島県が2-0で勝ち、決勝(対静岡県、10月3日)進出を決めた。

 今大会、“台風の目”となっていた香川県を広島県が止めた。これまで、前半の入りの良さで優位に立ち、無失点で勝ち上がってきた香川県だが、この日は広島県を凌駕することができない。広島県はMF棚田遼(広島ユース、1年)やMF森本凜(瀬戸内高2年)が相手の高いDFラインの背後へ抜け出す動きを連発。DFラインからの正確なキックやサイドチェンジで揺さぶり、相手の得意とする前からのディフェンスを出させなかった。

 29分には右サイド後方からのサイドチェンジを受けた左WB田部健斗(広島皆実高1年)が、DFと競りながらPAに入ったところでファウルを受けてPKを獲得。今大会4得点の棚田がキッカーを務めたが、右足シュートは香川県のU-15日本代表GK松原快晟(讃岐U-15、中学3年)が読み切ってストップする。

 広島県は32分にもこぼれ球に反応した棚田の決定的な右足シュートが枠を捉えたが、香川県GK松原が再びビッグセーブ。DF陣が最後まで一歩を出して寄せる部分や、組織的に守る部分など香川県は磨かれてきた部分を初の準決勝でも発揮した。

 だが、広島県は棚田のシュートで得た左CKを得点に結びつける。前半33分、右WB光廣健利(広島ユース、1年)の左CKをファーサイドのDF豊田将大(広島ユース、1年)が中央へ折り返す。これを準々決勝先制点の森本が、右足で決めて広島がリードを奪った。

 先発11人中9人が讃岐U-18に所属する香川県は、MF富永拓斗(讃岐U-18、1年)がFW岩佐麟太郎(讃岐U-18、1年)らとのパス交換から前へ。また10番FW小山聖也(讃岐U-18、1年)がドリブルで相手の守りをこじ開けようとする。そして、後半5分には敵陣でのインターセプトからMF浅田彗潤(讃岐U-18、1年)が左足ミドルを撃ち込んだ。

 スコアは1点差。十分に対抗することができていた印象の香川県だったが、広島県はわずかなところで差を生み出してくる。後半8分には再び光廣の左CKから今度はDF豊田が頭でゴールへねじ込んで2-0。貴重な追加点を奪い取った。

 ともにこの日が4試合目。ひたむきに最後までやり続ける「広島スタイル」もどこかでペースが落ちることが予想された。だが、広島県の運動量は落ちない。攻撃面では3バックの中央でゲームメークするDF西村岳(広島ユース、1年)やMF池田柚生(広島ユース、1年)の配球から左DF{香取潤}}(広島ユース、1年)らがアクションをかけて前へ。また、守備面でもハードワーク光るMF藤野和樹(広島ユース、1年)やFW菅野翔斗主将(広島ユース、2年)、森本、棚田の前線3人をはじめ、献身的に走り続けていた。

 加えて、交代選手たちも役割を全う。岩成智和監督(広島ユース)が「自分、よく言っているのは『動かされたら、絶対に持たない』と。『自分の意志で動け』って。守備も、攻撃もこの4年間貫いているけれど、『アクションサッカー。自分たちから何か仕掛ける、それが広島だよ』って言って。そうすれば気持ちよく走りますよね。これを最後までそれを貫きたいですね」と説明していたが、攻守に渡って自分たちの意志で動き続けた広島県は最後まで主導権を渡さなかった。

 香川県は左SB田尾佳祐(讃岐U-18、1年)のカバーリングやMF川田脩斗(讃岐U-18、2年)の献身的なランニングなど粘り強く戦い、交代出場のFW佐々木浩汰(高松東高)が相手の背後を狙う動きも見せていたが、GK波多野崇史(広島ユース、1年)の守る広島県ゴールに放ったシュートは1本。堂々の内容で勝利した広島県がこの4年間で3度目となる決勝進出を果たした。

 広島県の岩成監督は「みんな、日に日に良くなっていきます。優勝よりもその先が目標だから。こういう経験値って凄い」と語っていた。タフな4連戦を16人という限られた人数で戦っているが、強敵との連戦の中でU-16の選手たちは着実に進化。また、広島県の代表という責任、優勝への思いがそれを加速させている。

 棚田は決勝へ向けて「静岡は一人ひとり上手いチームだけど、自分たちも広島のサッカーやっていれば勝てると思う」。決勝でも「広島スタイル」を貫き、アグレッシブに走り続けて国体タイトルを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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