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[MOM2988]広島県DF西村岳(広島ユース、1年)_自身初の日本一へ。3バックの中央で君臨する10番

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広島県の10番DF西村岳(広島ユース)が決勝進出に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 3年前の優勝時同様、広島県の3バックの中央には背番号10のレフティーが構えている。当時はMF登録の鈴直樹(広島ユース→青山学院大)がその左足で攻撃のタクトを振るっていたが、今年は同タイプの西村岳(広島ユース、1年)がゲームをコントロール。存在感のある動きでチームの決勝進出に貢献した。

 この日は、「どんな時間帯も締めてやらせないことは共通している」という通り、守備面では鋭い読みを活かしたカバーリングなど隙を見せることなく、香川県をシュート1本に封じた。また、攻撃面では得意の左足で相手の背後のスペースへ配球。攻守両面で前へ出て来ようとする相手を裏返し、その勢いを止めた。

「自分は、本当はボランチの選手なんですけれども、キックが持ち味であのポジションをやらせてもらっているので、チームが辛い時に自分のキックで裏返したり、自分の持ち味でチームを助けられれば良いと思っています」と西村。冷静な視点でフィールドを見渡す特長も持つ10番は、狙い通りのプレーでチームを助けていた。

 ボランチから最終ラインに転向した当初は、好きな攻撃をする回数が減ることを懸念していたという。それでも、現在は「半年くらいバックになってきて狙うタイミングとか分かってきて、守備の楽しさとか分かってきた。与えられた場所と時間で戦えたら良いと思っています」。岩成智和監督(広島ユース)も「本当はあのポジションではないけれど、普通にこなしてゲームをコントロールしたりしてくれている」と感謝していたが、DFの楽しさを知った西村は、新境地で結果も出してきている。

 中学卒業時、横浜FMジュニアユースからユースチームに昇格することができず、声を掛けてくれた広島へ。「親元を離れてやってみたいと思いましたし、自分の決定した意志に誇りを持てた」という西村は、ひたむきにやり続ける「広島スタイル」の中で新たな学びを得て、プレーヤーとしての幅を広げるなど自分の選択を成功に繋げてきている。

 そして、国体で活躍し、自身初の日本一まであと1勝。「静岡は千葉寛汰選手がいて凄く点を決めているので、自分がそれを止めれれば良いし、自分は全国1位を取ったことがない。マリノスの時は小学生の時2位で、ジュニアユースでは3位だったので、自分の中では1位を経験したことがないので、このチーム全員で優勝できれば良いなと思います」。10番は仲間たち全員とあと1勝を果たして、“日本一の景色”を見る。

(取材・文 吉田太郎)
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