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複数の誘いの中から「一番高いレベル」で挑戦することを決意。市立船橋の10番MF鈴木唯人が清水入り

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市立船橋高(千葉)のU-18日本代表MF鈴木唯人清水エスパルス

 「一番高いレベル」で挑戦することを決めた――。清水エスパルスは4日、市立船橋高(千葉)のU-18日本代表MF鈴木唯人(3年)が来季(2020シーズン)に新加入することが内定した、と発表した。名門・市船の10番を背負う鈴木については、清水とJ2の3クラブが獲得を目指していたが、鈴木はJ1クラブでの挑戦を決意。静岡の名門クラブでプロ生活をスタートする。

 鈴木は技術力とアイディア、視野の広さに優れ、ドリブルで仕掛けて点を獲ることも、スルーパスでアシストすることも、ゲームメークすることもできる万能型。昨年から市立船橋のレギュラーに定着し、今年は日本高校選抜、U-18日本代表も経験してその成長を加速させている。
 
 鈴木は今年の高体連を代表するタレントの一人だが、高卒でJ1クラブに入ってもなかなか試合に出られない可能性がある。より早く試合に出るため、J2からのプロ入りを勧める声もあった。本人も迷ったようだが、最終的に最も厳しい環境へ進むことを決めた。

「J2は『試合に出れる』と言われるんですけれども、自分は出れない状況でもそこで戦って成長しないと、もうひとつ上の世界でやっていけないし、エスパルスで出れなかったら上の世界でもやっていけない。最初から妥協しないというか、(J1へ)行けるのに挑戦しないのも違うかなと思った。まずは一番高いレベルの中に入って、自分がどれだけできるかということとレベルの高い選手とやることによって、自分も一回りも二回りも成長できると思って決断しました」。

 鈴木は神奈川県の葉山町立葉山中出身。中体連から全国高校選手権優勝5回、インターハイ優勝9回を誇る名門・市立船橋でチャレンジし、その中で出番を勝ち取ってきた。「(当時、)『やってやる』というのだけはあった」という鈴木は、高校進学時と同じ選択。「(挑戦するという)自分のスタイルがあるのかなと思います」と頷いた。

 いずれも日本高校選抜でチームメートだったMF武田英寿(青森山田高3年)が浦和、FW染野唯月(尚志高3年)が鹿島入り。選手権出場のない鈴木は全国的な知名度で彼らに劣るが、「自分は絶対に負けれないと言うか、負けていないという自信もありますし、今は正直、鈴木唯人という名前が知られていないけれど、この先『絶対にやってやろう、オレが一番になる』という気持ちがあります。絶対に負けない」と言い切った。武田と染野や同じ神奈川県出身のFW西川潤(桐光学園高3年、C大阪内定)、MF久保建英(現マジョルカ)という同世代の先を行く選手にも負けない活躍を目指す。

 鈴木は清水サポーターに見てもらいたい部分について、「攻撃面で自分のアイディアだったり、センスと言うか楽しませるプレーというのを見てもらいたいですし、また強引にシュートや得点・アシストをするので、そういうところを見てもらえれば良いかなと思います」。まずは自身にとって初の選手権出場を必ず果たし、そこで名を上げること。そして来年以降、厳しい環境の中で貪欲に成長して清水に白星をもたらす存在になる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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