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大学時代の恩師や後輩が早川史哉の奇跡のカムバックに笑顔「いろんな人を勇気づける」

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復帰戦をフル出場で飾ったDF早川史哉

[10.5 関東大学L1部第15節 筑波大2-3東洋大 朝霞中央公園陸上競技場]

 後期リーグはこの試合まで2勝1分と好スタートを決めていた筑波大だが、降格圏に低迷する東洋大に足をすくわれ、今季5敗目を喫した。

 前半からリードを奪われる展開で、2度1点差に詰め寄るものの、複数人が足をつるまで走り抜いた東洋大の気迫の前に、同点弾までは奪うことが出来なかった。「東洋さんを見習わないといけない。あれくらい必死にやるんだということを勉強させてもらった」。小井土正亮監督も完敗を認めざるを得ないといった様子だった。

 OBの大復活を勝利で祝福することは出来なかった。15年度に主将を務めたDF早川史哉は、アルビレックス新潟でのルーキーイヤーに急性白血病を発症。骨髄移植手術を行い、長期療養に入っていた。そして長い闘病期間を経て、1287日ぶりとなる奇跡のカムバックを果たしていた。

 試合の振り返りについては終始渋い顔だった小井土監督も、早川の話題になると、「本当に良かったですよね」とほころばせる。「彼の過ごしてきた時間を思うと本当にどんな思いでプレーしたのか」とおもんぱかった小井土監督は、「リアルに命を削って戦っている仲間がいる。いろんな人を勇気づけられることだと思うので、僕らも負けないようにやらないといけないなと改めて思います」と気合を入れ直した。

 また早川からバトンを受け継いで翌年のチームで主将を務め、今季より筑波大で指導者としての道をスタートさせた高柳昂平コーチも「凄いですよね。メンタルがめちゃくちゃ強い。普通だったら復帰できないですよ」と尊敬の眼差しを向ける。そして「本当なら勝って連絡を入れたかった。お前ら何やってるんだと言われそうですね」と複雑な胸中を明かすも、まずは“特別な先輩”の復帰を素直に喜んでいた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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