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「残り7試合、救世主になる」3か月ぶり復帰の横浜FC草野、首位破る劇的V弾!

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劇的な決勝ゴールを挙げ、カメラにガッツポーズを見せるFW草野侑己

[10.6 J2第35節 横浜FC1-0柏 ニッパツ]

 15試合ぶりに出場した“ラッキーボーイ”が、首位を独走する柏レイソル撃破のヒーローとなった。「点を取ることだけ」を考えてピッチに立ったという横浜FCのFW草野侑己は、狙いどおりのホーム初ゴールに「やっとこれで僕の名前を知ってもらえた」と喜んだ。

 最初の交代カードで投入されたのが後半25分。立ち上がりはなかなか存在感を発揮し切れなかったが、土壇場のアディショナルタイムに鮮烈な結果を残した。右からのCKが中央の空中戦でこぼれてくると、「得意」というヘディングシュートで反応。91分間にわたって保たれていた均衡を破り、ベンチのチームメートと歓喜を分かち合った。

 投入前、MF中村俊輔からは「ラッキボーイになれよ」と伝えられていた。依然負傷からの復帰途上だが、下平隆宏監督は信じて起用した。「最初は服を脱いでこうやって(振り回すポーズ)やってやろうと思ったけど、まだ7試合あるしやめておこうと」(草野)。ド派手なパフォーマンスよりも「みんなと喜びたい気持ち」が優った。

 草野のゴールが決勝点となり、横浜FCは1-0で勝利。首位を独走していた柏の足を止め、チームも自動昇格圏に食らいつくための価値ある勝ち点3を獲得した。「この試合はチーム全員が絶対に勝つこと以外なかった」。引き分け覚悟の試合運びをしていた相手に対し、最後は勝利への渇望が大きく上回った。

 阪南大から今季加入した23歳。「順調じゃなかった」とここまでのプロ生活を振り返る。開幕直後のタヴァレス監督指揮下では「相手にされていなかった」といい、下平監督の下でプロ初ゴールを挙げたかと思えば次の試合中に負傷。「1年目からバリバリ試合に出るという思い描いていた感じとは違った」とギャップに苦しんだ。

 しかし、負傷した6月29日の岡山戦以来3か月ぶりに復帰した一戦の活躍で「こうやって柏戦でゴールを取れて、うまくいかなかった時間がムダじゃなかったと感じた」と報われる思いも芽生えた。1トップを務めていた大学時代から、横浜FC仕様にプレースタイルを変化させた自身の成長もたしかに感じている。

「大学の時は点だけ取るようなポジションだった。クサビを受けることなく、裏に走ってクロスが来たのに合わせるみたいな。ただここで求められているものとは違うので、サイドはサイドなりのプレーになる」

「根本的にはいまも点を取ることしか考えていないけど、自分の特徴をどう落とし込んでいくかという意味で、大学でのプレースタイルとは全然変わってきている。大学の時の人が見たらびっくりすると思いますよ(笑)。あんなふうに下がって守備して……というのはやっていなかったので」。

 そうした上り調子で迎える残り7試合。いまは自らの活躍で来季のJ1昇格を勝ち取れる立場にある。「これで満足するんじゃなく、残り7試合全試合に出て、全部の試合で点を取って、救世主になるような活躍をしたい」。MF松尾佑介、MF中山克広といった大学出身の若武者がブレイク中の横浜FCだが、また一人ギラギラした23歳が存在感を示した。

(取材・文 竹内達也)
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