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広島県が決勝でも示した最後まで全力でやり切るということ。岩成監督「一番、彼らが見せたんじゃないかと思います」

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広島県は敗れたものの、「広島スタイル」を最後まで表現した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

「1回戦よりも2戦目、2戦目よりも3戦目とずっと良くなってきて、最終的に(決勝で最も)見せてくれたことに満足しています。良くやったなと思いますね。それで勝てたら良かったですけれども。広島のサッカーを貫けた」。広島県の岩成智和監督(広島ユース)は0-1で惜敗した決勝後、清々しい表情を見せていた。

 戦うたびに内容を向上させてきた広島県は、決勝でもひたむきに、またアグレッシブに走って戦う「広島スタイル」を表現。前半からセカンドボールの攻防で優位に立ち、MF藤野和樹(広島ユース、1年)、MF池田柚生(広島ユース)、1年)の展開からサイド攻撃を繰り出した。

 MF森本凜(瀬戸内高2年)とMF棚田遼(広島ユース、1年)が繰り返し相手DFの背後に飛び出したほか、両WBがかなり高い位置取りから仕掛けるなどチャンスの数を増加。攻守に渡ってアグレッシブに戦い、静岡県に圧力をかけ続けたが、前半に先制点を奪うことができなかった。

 すると後半、前に出てきた静岡県に対し、広島県は疲れからかミスによるボールロストが目立つようになってしまう。相手GKの好セーブもあって得点を奪えなかった広島県は後半20分にセットプレーから失点。だが、2回戦の大分県戦で後半アディショナルタイムに追いついてPK戦で勝利している広島県は、諦めない。

 1人、2人ではなく、全員が全力で自分たちのやるべきことを継続。そして、残り時間が10分を切ってから森本やDF香取潤(広島ユース、1年)が決定的なシュートを放った。だが、ポストに阻まれるなど1点を奪うことができず、準優勝。それでも、最後まで全力で戦い抜いた姿勢を岩成監督も評価していた。

「本当に、最後まで全力でやり続けるというところが凄いポイントなんですけれども、それを一人ではなく、全員でやるというところ。それを日本で、この国体でも一番彼らが見せたんじゃないかと思います」

 16年大会で広島県を日本一に導いた岩成監督は4年間で3度決勝進出。今回限りで退任することになっている指揮官は「4年やって3回決勝来れたのは自分としても嬉しいですね。間違っていなかったんだなと。広島のやりたいこと、広島県にしかできないことが伝わったし、表現してくれた。また、新しい世代と新しいスタッフが(進化させる形で)作っていってくれたらいい」。被爆から復旧・復興してきた歴史を持つ広島県が、全国決勝でも示した「広島スタイル」。選手たちは学んだことを所属チームに帰っても継続し、それをチームメートや後輩たちに伝える。

(取材・文 吉田太郎)
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