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“育成チーム”の興國が勝つことにこだわり、大阪桐蔭撃破。初の選手権予選突破へ弾み

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前半8分、興國高FW下村和暉が先制ゴール

[10.5 プリンスリーグ関西第15節 興國高 1-0 大阪桐蔭高 太陽が丘球技場B]

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2019関西は5日と6日に第15節を行い、4位・興國高(大阪)と7位・大阪桐蔭高(大阪)との戦いは1-0で興國が勝利。今年、プリンスリーグ参入1年目の興國は6位以内とプリンスリーグ関西残留を決めた。

“らしさ”を捨てても勝つことにこだわった。興國は前半8分、FW下村和暉(3年)が、横浜FM練習参加の注目GK田川知樹(2年)のフィードを左サイドで受け、カットインからPAへ侵入。ファウルを受けてPKを獲得する。これを自ら右足で決めて先制。U-17日本代表FW杉浦力斗(2年)やJ注目FW樺山諒乃介(2年)ら先発7人が2年生のチームで、3年生が意地のゴールを決めた。

 序盤、相手の勢いを受けてしまった大阪桐蔭は横パス、バックパスが目立つ展開。だが、永野悦次郎監督から檄を受けた選手たちは、FW中島陸(3年)がチームを鼓舞するなど気持ちを切り替えて前向きなサッカーを見せた。

 勇気を持って前からボールを奪いに行く大阪桐蔭は、インターセプトから間髪入れずに前へ。MF下野虎太郎(3年)やFW中島にボールをつけると、そこからサイド攻撃を繰り出した。20分には右CKのこぼれをMF才木陽太(3年)が狙い、MF武田晴人(3年)の左足ミドルやMF山上新平(2年)がルーレットターンから放った右足シュート、またMF大野幹生(3年)がパス交換からシュートへ持ち込むなどシュート数を増やした。

 一方の興國は強力3トップが個の強さを見せ、「自分は足が速くないので、考えることを人よりも多くしないといけないと思いますし、どこで受けて、どこに出せば樺山活かしたり、杉浦活かしたりできるかいうのは考えている」という技巧派MF湯谷杏吏(2年)がスルーパスでチャンスメークするシーンもあった。

 だが、攻守にアグレッシブなサッカーを続ける大阪桐蔭は45分、中島のパスでPAへ侵入した才木が切り返しから決定的な右足シュート。これがニアのゴールを捉えたが、興國はGK田川が反応してストップする。

 大阪桐蔭は後半4分にも大野の右クロスから武田が決定的なシュートを放ったものの、GK正面。その後も右SB永野将大(3年)が攻撃参加からクロスを上げ切るなど攻めるが、興國はともに身長185cm以上の2年生CBコンビ、平井駿助と中島超男が跳ね返していく。

 平井は「前の選手はめっちゃ頑張ってくれて、限定してサイドに追い込んでくれたので、自分たちはゴール前で戦って、クロスが上がってきたら跳ね返すことを意識していました」。

 興國は後半16分、下村の仕掛けから杉浦が決定機を迎えるが、大阪桐蔭DFが身体を張ってブロック。直後には大阪桐蔭がビッグチャンスを迎え、左SB奥田智哉(3年)のクロスを下野が頭で合わせる。だが、この日抜群の存在感を見せた興國GK田川がわずかに触ったボールはクロスバーをヒット。同点に追いつくことができない。

「今回は絶対に勝たないといけない試合」(内野智章監督)と位置づけていた興國は、本来のバルセロナスタイルのサッカーを“封印”して、両足のキック精度が特長の中島や田川が敵陣コーナー方向へのキックを徹底。我慢強い守りから前線の攻撃力を活かして2点目を狙う。だが、なかなか相手が嫌がるような攻撃をすることができず、大阪桐蔭の攻撃を受ける回数は増えた。それでも、後半に存在感を増したMF田路耀介主将(3年。金沢内定)がボールを奪い返し、走力を強みとする右SB高安孝幸(3年、金沢内定)がサイドの攻防戦で相手を上回る。

 右サイドから切れ込んでくるMF大野に振り切られそうになるシーンや、セットプレーやカウンターからシュートまで持ち込まれるシーンがあった。それでも、興國は意図的に相手をサイドへ押しやり、クロスを弾き返すというプラン通りの戦いで勝ち点3を獲得。“苦手”な大阪桐蔭を下したことで選手権予選へ向けても弾みをつけた。

 内野監督は試合後、選手たちに向けて「もちろん目指すのはバルサやけど、レアルやリバプールというチャンピオンになったチームから学ぶことも大事」とメッセージ。この日は相手の良さを出させない戦いを選んだが、大阪桐蔭からの勝利はこれまで内容が良くても勝ち切れずに大阪府のトーナメント戦で負けてきたチームに良い意味での自信を与えるかもしれない。

 湯谷はこの白星について「ベンチに入れない選手まで全員が一丸となっていたのは雰囲気でも分かりますし、勝つ雰囲気になっていたなと思います」と語り、選手権予選へ向けては「個人としては結果を残さないと自分の夢を叶えられないし、チームとしては大きな大会。インターハイもすぐに負けていますし、全国に初めて出てもっと興国を全国で知ってもらえるようにしたい」と力を込めた。

 また、この日「空中戦は全部勝つことができた。(足元に入れられた時は)もっと戦えないといけないと思いました」と振り返る平井は、「自分のやることだけやって、メンバー入って、スタメンで出て、決勝まで行って初の全国出れるように頑張っていきたいです」とコメントした。まずは目標のプリンスリーグ残留達成。近年、複数選手をJリーグに送り出している「育成チーム」興國が勝つことにもこだわって、選手権出場を果たす。 

(取材・文 吉田太郎)
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