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選手権福岡県予選で王者撃破と優勝狙う伝統校と新鋭。東海大福岡vs飯塚は1-1ドロー

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[10.13 福岡県1部L第13節 東海大福岡高 1-1 飯塚高 東海大福岡高G]

 選手権福岡県予選での王者・東福岡高撃破、福岡制覇を狙う両校の戦いは引き分けた。13日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2019福岡1部リーグ第13節で2位・東海大福岡高と3位・飯塚高が対戦。勝ち点31で並ぶ両校は互いに譲らず、1-1で引き分けた。

 福岡県1部リーグは第16節までを終え、すでに東福岡高Bの優勝が決定。インターハイ予選でともに4強の東海大福岡と飯塚は、10月19日に開幕する第98回全国高校選手権福岡県予選第二次予選を見据えた選手起用や戦い方となった。

 立ち上がり、ボールを握ったのは“華麗なる猛虎”こと伝統校・東海大福岡の方だった。「ポリシーを持って繋ぐ、崩すことをやっている。相手をコントロールしてしっかり崩す」(大丸忠監督)ことを狙う東海大福岡は、この日好キックを連発していたMF工藤和真(2年)とMF山根優汰(2年)、MF永江青渚(2年)の中盤3人を中心に3人、4人が連動する形でボールを動かし、ダイレクトのサイドチェンジ、スルーパスからチャンスも作る。

 だが、先制したのは、野心を持つ新鋭、飯塚だった。前半14分、相手の背後を突く形で得た左CKをニアのMF原田泰知(3年)がそらし、中央のCB早川輝(2年)が決定的なシュート。このこぼれをCB轟凌磨(3年)が左足でねじ込んでスコアを動かした。東海大福岡も18分、右CKからサインプレー。ファーサイドのFW小川真尋(2年)の折り返しをCB中山駿(2年)が押し込んで同点に追いつく。

 飯塚は試合の中で戦い方を変える巧さと“嫌らしさ”が光った。序盤は重心を後ろに置きながらコンパクトさを保っての戦い。10分過ぎからは一転、立ち位置の良い連動守備で常に相手ボールホルダーとの距離を詰め、東海大福岡のビルドアップ、パスワークを乱していた。

 そして、セカンドボールを回収してマイボールの時間を増やすと、GK轟大和(3年)やCB轟凌の質の高いフィードと、身長167cmながらヘディングで抜群の強さを発揮する松本内定FW村越凱光主将(3年)を効果的に活用。そして、判断力と正確なキックで存在感を放つMF野見山楽斗(2年)や「ウチの両ワイドはインテリジェンスが高い」(中辻喜敬監督)という右MF黒木翔海也(2年)、左MF宮川開成(2年)らが絡んで連動した崩しにもチャレンジする。

 鋭いドリブルでDFを振り切る村越、左サイドの「大器」SB川前陽斗(2年)の攻撃参加なども加えて、ゴール前のシーンを増加。45分には右サイドへ抜け出した野見山が自らのラストパスのこぼれ球を拾い、PKを獲得する。だが、野見山の右足シュートはゴール左へ外れてしまう。後半立ち上がりにも村越のラストパスやドリブルシュートでゴールを脅かしたが、東海大福岡はJ1クラブにも練習参加している東海大福岡GK李到騊(3年)のファインセーブやCB早川峻央(3年)のタックルなどでゴールを守る。

 東海大福岡は思うように前進できない時間帯もあったが、それでも目指す攻撃を継続。抜きん出た個が少なくても勝負できるチームを目指し、立ち位置、声がけから徹底して取り組んでいるという東海大福岡は、相手が間延びした試合終盤にオープン攻撃の強さを示す。

 ハイサイドへの配球から右の俊足FW前田光(3年)と左の大型アタッカー、小川が前を向いて仕掛けるシーンを増やし、クロス、シュートへ持ち込むなど決定機を作ったが、飯塚はGK轟大の好守やDFのシュートブロックで得点を許さない。オープンな展開となる中で飯塚も勝ち越し点を目指したが、スコアは動かず。1-1で引き分けた。

 目標はともに選手権全国出場。ゴール前の質など課題を残したものの、ともに福岡県で異質と言えるような特長を持つ。東海大福岡の小川は「まずは初戦を落とさずに必ず準決勝で東福岡と当たるようになっているので、平(清孝総)監督がつくった8連覇を越えられないようにここで何とか食い止めて選手権に出れたら良い」と東福岡の7連覇阻止、タイトル奪還へ意気込んだ。

 飯塚は前日にかなりハードなトレーニングをした上で東海大福岡と対戦。その上で中辻監督は「(後半立ち上がりまでに)ボールを動かしながら3、4本決定機を作っている。こういう相手には決めておかないといけない」と指摘する。個々の判断力と技術力も高い好チームは今年、歴史を変えるか。注目の村越は「まず初戦が大事なので一戦一戦しっかりと戦って、最終的に決勝でヒガシと戦って勝って全国出場できたら良いなと思います」と力を込めた。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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