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[関東]八幡山でリーグ戦開催の明治大、今季31試合目で初ドローも“小休止”不要

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FW佐藤亮は両軍最多5本のシュートを放ったが不発に終わった

[10.14 関東大学L1部第16節 明治大0-0駒澤大 明治大学八幡山グラウンド]

 首位の明治大駒澤大と0-0で引き分けた。今季初の引き分けで勝ち点は43。2位の桐蔭横浜大が勝利したため、勝ち点差は12に縮まり、史上最速優勝のかかった次節で優勝を決める可能性はなくなった。

 ついに引き分けの欄に「1」がついた。明治大はこの試合の前までリーグ戦14勝1敗。公式戦で計算しても28勝2敗(天皇杯の川崎F戦の敗戦含む)と圧倒的な成績を残してきた。過去の記録でも負けなし記録を作ることはあったが、勝ち星だけでここまで伸ばすのは聞いたことがない。引き分けなしは今年の明治の力を象徴する話題の一つでもあった。

 “初の本拠地ゲーム”が若干リズムを狂わせていた。本来は12日に岩名運動公園陸上競技場で実施予定のゲームだったが、甚大な被害をもたらした台風19号の影響で急きょ、試合日と会場が変更。サッカー部の寮に隣接し、普段の練習場となっている明治大学八幡山グラウンドで試合を行うことが決まった。

 夏場に人工芝を張り替えたばかりで、ピッチに問題はなかったが、普段は電車やバスを使って長距離を移動して試合に臨むが、この日は直前まで部屋で過ごすことが出来たことで、選手も違和感を感じることが少なくなかったという。主将FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)も「公式戦なんだけど公式戦じゃないような独特なものがありました」と素直な気持ちを明かす。

 それでも試合を通して明大は駒大を圧倒した。3バックはこの日は高さのある駒大対策としてDFラインの要だった身長173cmのDF常本佳吾(3年=横浜FMユース)をあえてボランチで起用。DF川上優樹(4年=矢板中央高)を中央に、DF小野寺健也(4年=日大藤沢高)、DF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)の身長のある3人を並べて対策を打った。

 そして攻撃面でも特に後半のシュート数11対1が示す通り、主導権を握って攻め続ける。ただ後半22分にMF持井響太(3年=滝川二高)が1対1でGKを交わすが、上手くシュートまで持ち込めない。後半アディショナルタイムに押し込んだかに見えた場面は、カバーに入っていたDF星キョーワァン(4年=矢板中央高/横浜FC内定)にクリアされて、ゴールネットを揺らすことが出来なかった。

 しかし落ち込む結果ではないと前を向く。栗田大輔監督は試合後にイレブンには「勝っていくとクオリティに走りがち。一番ベースとなっている学生らしさがなくなって、理屈に走り出すとだんだんチームが悪くなる」と一試合一試合と向き合うことの重要性を話したという。「この引き分けを引きずって、負けたような気持ちになってはいけない。まずは来週勝つことが大事になるのかなと思います」。

 主将も同調する。「勝ち続けられるチームがあれば一番ですけど、サッカーは相手があるスポーツ。だからと言って相手がどこだからこうしようというサッカーはしていない。敵は自分たちだと常に言い聞かせてやっているので」。感じさせるのは揺るがぬ自信。ターゲットは歴代最多勝ち点記録である17年に筑波大が記録した54だ。指揮官が「勝ち点60はまだ行けますよね」と壮大な目標を平然と言ってのけたように、今季の明大に“小休止”という言葉は不要だ。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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