beacon

[MOM645]駒澤大DF星キョーワァン(4年)_2mFWを完全シャットアウト

このエントリーをはてなブックマークに追加

DF星キョーワァン(手前)とFW赤井裕貴の大型マッチアップ

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.14 関東大学L1部第16節 明治大0-0駒澤大 明治大学八幡山グラウンド]

 後半28分、会場がざわついた。スコアレスの展開を打開すべく明治大は一人目の交代カードとして200cmFW赤井裕貴(1年=帝京高)をピッチに送り込む。「キョーワァンよりデケーじゃん!」。駒澤大の応援席からは驚嘆の声が上がった。

 対峙したDF星キョーワァン(4年=矢板中央高/横浜FC内定)も「必ず出てくる」と思って心の準備をしていたという。「自分が負けたら相手の流れになって行ってしまう」。意識を強くした星は、身長が10cm以上も高い相手に負けない打点の高いヘディングでボールを弾き返す。

 駆け引きの未熟さ、それでも果敢に立ち向かってくる直向きさに「俺もあんな感じだったな」と自分を重ね合わせた星。ただルーキーに簡単に負けるわけにはいかない。ガッツポーズも飛び出すなど、大学サッカー界の先輩として、そしてプロ内定選手としての違いを見せつけた。

 父親はコンゴ民主共和国出身。キョーワァンという名前はもちろんコンゴ系の名前で、綴りは「kyowaan」。そのため、口語では抜いていいが、文字にするときは小さい「ァ」が入るのだという。「いつかは行ってみたい」と話すが、コンゴの地を踏んだことはない。日本生まれ日本育ち、そして話せる言語も日本語のみということで、日本国籍も迷わず選択した。

 姉、妹に挟まれた3人兄弟の真ん中。「(2人の)言うことは何でも聞きます」という関係性だというが、気の優しさを伺わせるエピソードだ。しかしサッカーとなれば別。この日も来年から同僚になるMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース)や、高校時代のチームメイトだったDF川上優樹(4年=矢板中央高)がいたが、「仲のいい選手は多かったけど、とりあえずピッチではとことん嫌われてやろうと思ってやっています」と気の強さをみせる。

 7月2日に来季の横浜FCへの入団内定が発表になったが、この夏は怪我に苦しんだ。同月行われたアミノバイタルカップ準決勝の明治大戦で右足内側側副靭帯を損傷。骨挫傷も併発したことで、完治を遅らせた。星を欠いたチームは総理大臣杯で初戦敗退。そして5位で迎えた後期リーグ戦も未勝利と出遅れ、インカレ圏外まで落ちてしまっている。

 主将としての責任。復帰戦となった前期の専修大戦は前半に先制しながらも、後半の2失点で逆転負けだった。「自分のところでCKでやられてしまったり、勝てなかったのは僕の責任。監督から悪い評価?それも当たり前、自分が悪いと思います」。“流れを変える”と強い気持ちを持って臨んでいただけに、不甲斐なだけが残ったという。

「その分、今日は失点ゼロで体を張ろうと臨んでいました。今日はよくも悪くもターニングポイントになる試合だと言っていた。無失点はみんなに感謝したいけど、勝てなかったことは課題。とにかく次の試合で勝ち点3を取れるように頑張っていきたいです」

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

TOP