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無念の夏から攻撃がより多彩に。東京2冠の國學院久我山が早実の堅守こじ開けて初戦突破:東京A

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後半13分、國學院久我山高FW山本航生が先制ゴール

[10.19 選手権東京都Aブロック予選2回戦 國學院久我山高 1-0 早稲田実高 駒沢2]

 夏の敗戦を経て、関東王者の攻撃がさらに進化を遂げている。第98回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック予選は19日、2回戦を行い、今年東京2冠の國學院久我山高早稲田実高が対戦。FW山本航生(3年)の決勝点によって國學院久我山が1-0で勝った。

 今年、関東大会予選5試合を19得点、インターハイ予選3試合を12得点、そして関東大会も3試合8得点で制している國學院久我山だが、全国制覇を目指して臨んだインターハイは初戦で神村学園高(鹿児島)に2-3で逆転負け。開幕から快進撃を続けていた東京都1部リーグでも失速した時期があった。

 これまでほとんどの対戦相手は質の高いポゼッション、サイドからの崩しで攻略することができていたが、勝ち続けるため、またレベルが上がった対戦相手を崩して得点するためには変化が必要だと気付かされた夏。その國學院久我山が、守備に重きを置いた早稲田実相手に多彩な攻撃を続けて攻め勝った。

 序盤から國學院久我山が圧倒的にボールを支配して攻めたが、早稲田実はカバーリング優れたDF横井創(3年)を中心とした3バックや両WBが背後に飛び出して来る相手に対応。また中央、サイドからコンビネーションで入れ替わろうとしてくる相手に食らいついてボールを奪うと、前線のFWアイクソエ怜生オーエンス(2年)やFW木原爽汰(2年)にボールを入れて攻め返した。

 そして、前半16分にはMF蔵田旺祐(3年)の左クロスからファーサイドの木原が放ったヘディングシュートがクロスバーを叩く。セットプレーやMF大橋優貴(3年)のミドルシュートなどで1点をもぎ取ろうとしていた。

 國學院久我山は前半、初戦の硬さもあってリズムがやや単調になった部分もあったが、後半は「自分たちからアクションを起こす。それが前半は少なかった」(清水恭孝監督)という反省点を改善。“危険度”が増したパサーMF大窟陽平(2年)や攻撃のバリエーションを増やしている左SB森次結哉(1年)らが、相手を休ませることなく攻めて、セットプレーやコンビネーションの崩しから決定機を連発した。

 FW戸坂隼人(3年)のシュートがゴールマウスを弾き、山本航のターンからの一撃がGK正面を突くなどなかなか1点を奪うことができなかったが、後半13分、FW山下貴之(3年)が左サイドを突破。戸坂のシュートのこぼれ球を山本航が左足でねじ込み、スコアを動かした。

 早稲田実はGK山崎泰斗(3年)が試合終盤にファインセーブを連発。1点差のまま食らいついたが、國學院久我山はボールを失ってからの奪い返しが速く、相手に攻撃機会を与えずに攻め続ける。また、抜群の高さを発揮したCB保野友裕(3年)や俊足CB加納直樹(3年)が後半はほとんど隙を見せずに、相手を完封。追加点こそ奪うことができなかったが、難しい初戦で強さと走る味方に正確にボールを通す巧さなどを示した。

 國學院久我山は明らかに増えた中央からの攻撃を含めて、右から、左から攻め続けて1勝。山本航は「負けて気付かされて、中からの攻撃とかセットプレーとかサイドの攻撃ももう一個増やしたり、攻撃で点を獲れるバリエーションをもっと増やそうと自分たちは話して、今は『ここがダメだったらこっち』とかできるようになってきているので良いと思います」と頷く。

 その取り組んできた攻撃を随所で表現したが、スコアは1得点。ただし、清水監督は「難しい試合になることは覚悟していた。苦しんで良かったと思います」と前向きだ。バリエーションの増えた攻撃の精度、スピードをもっともっと高めないといけないと確認することができた。

 目指すところは都準決勝が行われる西が丘でも、決勝の舞台である駒沢でもない。山本航は「あそこでリベンジするために自分たちはやっている」ときっぱり。どんな相手でも必ず崩して勝つチームになって、全国舞台でリベンジする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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