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駒澤大高が苦しみながらも連覇への第一歩。準々決勝で関東一と激突:東京B

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ナイターの照明下で実施されたPK戦。駒澤大高が初戦突破を果たした

[10.19 選手権東京都Bブロック予選2回戦 駒澤大高 0-0(PK6-5)日体大荏原高 駒沢2]

 駒大高が苦しみながらも初戦突破――。19日、第98回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選2回戦で前回王者の駒澤大高と日体大荏原高が対戦。0-0で突入したPK戦の末、6-5で駒大高が勝った。駒大高は26日の準々決勝で関東一高と戦う。

 駒大高はチームの最高成績である全国ベスト8超えを狙う世代。だが、MF内田哲平(3年)が「選手権の1回戦が厳しいというのはみんなで共有していました。ここでしっかりと勝たないといけないというのはあったんですけれども、思った以上に厳しい試合になったと思います」と振り返ったように、選手権予選初戦はV候補の一角にとって難しい戦いとなった。

 対戦した日体大荏原は駒大高をしっかりと研究した戦い。駒大高はサイドチェンジからのクロスやMF松本悠佑(3年)のプレースキック、またロングスローなどからゴールをこじ開けようとしていたが、日体大荏原は身体を投げ出してゴールを守るCB渡辺夏生(3年)や空中戦で互角以上の戦いを見せていたMF藤田航輔(3年)、CB小泉桂司(3年)らがその前に立ちはだかる。

 また、日体大荏原は奪ったボールを10番FW堀下勇輝(3年)へ。競り合いで強さを発揮する堀下が駒大DF陣を手こずらせていた。この堀下や運動量豊富なMF福井陽介(3年)が果敢に仕掛けにチャレンジ。だが、駒大高も昨年の10番FWから今年はCBとして選手権予選を迎えている原田大渡(3年)やCB小林泰晟(3年)が対人守備の強さを見せて、決定打を打たせない。

 駒大高は試合終盤にプッシュする。後半38分、PAの原田がバイシクルシュートを放つが、日体大荏原DFがブロック。39分には内田の右クロスがクロスバーを叩いた。42分にはMF時田悠人(3年)のシュートに持ち込んだが、これも日体大荏原が阻止。日体大荏原も堀下がPAに侵入するシーンを作ったが、駒大高DFも譲らず0-0のまま延長戦に突入した。

 駒大高は延長前半7分、ロングスローのこぼれ球を繋いで交代出場FW林駿佑(3年)が決定的な右足シュート。だが、日体大荏原はここでもGK見並玲温(3年)が弾き出す。日体大荏原はピッチサイドの仲間たちの「気持ちでやれ!」の声も背に延長戦も奮闘。前回王者相手に100分間無失点で凌ぎ切り、PK戦へ持ち込んだ。

 PK戦では後攻・日体大荏原の2人目のシュートが枠上へ。駒大高も決めれば勝利の5人目のシュートがクロスバーを叩いてしまう。だが、最後は日体大荏原7人目のシュートが再び枠上へ外れ、駒大高が準々決勝へ駒を進めた。

 近年、ダイナミックなサッカーで結果を残してきた駒大高だが、今年は大野祥司監督が「ある程度技術がある」という世代。インターハイ予選は準決勝で國學院久我山高に敗れたものの、関東王者相手に延長戦の熱戦を演じ、都1部リーグでは成立学園高との2試合でいずれも4得点を挙げ、関東大会予選準優勝の東久留米総合高に8ゴールを浴びせている。

 原田が「(過去最高成績の)全国ベスト8を破れるようなチームを目指している。それだけの実力があると思っているので勝っていきたい」と語るように、目指す位置は高い。だが、大野監督が「波がある」と指摘するように、良い時と悪い時との差が大きいことは確か。初戦で苦戦したチームは特長の技術力の高さに、昨年までの力強さ、逞しさも加えて白星を積み上げる。

 準々決勝の対戦相手は16、17年度優勝の関東一。内田は「内容も重要なんですけれども、延長でも、PKでも勝って行ければ良いと思います」。この日、苦戦しながらも勝負強さを示した駒大高は、優勝候補対決でも白星をもぎ取って連覇に前進する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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