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風上の後半にギア上げて3発!7年ぶりの全国狙う西目が宿敵との決勝へ:秋田

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後半10分、西目高は左サイドを抜け出したFW伊藤新之介が右足で先制ゴール

[10.24 選手権秋田県予選準決勝 秋田南高 0-3 西目高 ソユスタ]

 秋田決勝は伝統校対決に――。第98回全国高校サッカー選手権秋田県予選準決勝が24日に行われ、西目高秋田南高に3-0で快勝。西目は7年ぶり14回目の全国大会出場を懸けて、26日の決勝で秋田商高と戦う。

 前半、DFのマークをわずかに外しながらボールを繋ごうとする西目に対し、1、2年生軍団の秋田南は佐々木翼(1年)と加賀谷康太(2年)の両ストッパーが相手の2トップをマンマーク。その後方を小林海斗(1年)がカバーする形で対抗する。

 10分を過ぎると、秋田南は良い形でボールを奪う回数を増やし、FW吉田陸(2年)や右MF佐々木瞬星(2年)と左MF古谷旭(1年)の両翼が速攻にチャレンジ。互いに攻めきれないシーンが続いたが、前半26分に秋田南・吉田の右足シュートがゴール左ポストをかすめると、ここから強風を活かして攻める秋田南、MF伊藤瑠偉(3年)やFW武田笑侑(3年)が絡んだ攻撃からラストパスに持ち込む西目ともにスタンドを沸かせるようなシーンを作り合った。

 この攻防戦の中で、風下の西目はセーフティーに前半を終えることを選択。そして後半に入ると、1タッチの技術、アイディア優れた伊藤瑠を中心としたテンポの速いパスワークで秋田南の守りを振り回す。9分には伊藤瑠のスルーパスから武田、直後には伊藤瑠の1タッチクロスからMF佐藤玲(3年)がビッグチャンスを迎えた。

 そして10分、伊藤瑠の左ロングスローで秋田南DFを裏返すと、PAに侵入したFW伊藤新之介(3年)が切り返しからニアへ右足シュート。これがゴールに突き刺さり、西目が先制点を挙げた。

「味方に落としてゴールもあったんですけれども、あそこで強気の気持ちで打ててゴールを決めることができたので良かったです」という伊藤新のゴールでリードを奪った西目に対し、秋田南は後半もカウンターを狙うが、風下となった後半はこの攻撃が不発。西目はCB熊谷穂高(3年)を中心に落ち着いて対応し、ボールを支配して相手にプレッシャーをかける。

 後半21分には、素早い奪い返しから繋いで熊谷がPAへロングフィード。秋田南DFがクリアしきれず、こぼれ球を狙っていた伊藤瑠が左足で2点目のゴールを奪った。この後、西目は選手を入れ替えながら試合をクローズしていく。37分には右SB小林快(3年)が佐藤玲とのワンツーからスルーパスを通す。これで抜け出したFW小川拓(1年)が右足で勝利を決定づける3点目。西目はギアチェンジした後半の3得点で快勝した。

 西目は今年、転任した畠山啓前監督(現由利工高)に代わって、安田洋介監督が就任。安田監督は「最初、(就任1年目ということもあって)このシーズンの入りは上手く行っていなくて勝ちきれないゲームが続いていました。夏の遠征をこなして、雰囲気が出てきた。(また、)この間、新屋とやってウチの強みを出して勝てたことで自信に繋がっている」と分析する。

 西目は準々決勝で奪ってから前にグッと出る強みを発揮し、新人戦、インターハイ予選準優勝の新屋高に逆転勝ち。特に前線のスピードに自信を持っている。この日は狙いとは別の展開となったが、それでも守りを固めた相手ゴールをこじ開けて見せた。

 決勝は「伝統ある試合」(安田監督)だ。だが、ライバルの秋田商は現在4連覇中で昨年度は全国8強。一方の西目は近年、14、15、16年度と3年連続決勝で惜敗するなど全国から遠ざかっている。それだけに熊谷は「毎回、秋商、秋商と言われて、去年は全国大会でも秋商は結構良いところまで行っている。西目の伝統がなくなってきているんじゃないかなと自分でも思っていたので、今年はそれを崩してはいけないと思う。もう一度西目が優勝するところを見せたいと思います」と力を込めた。

 県内2冠の秋田商は今年も強敵。だが、伊藤瑠は「秋商も結構ハードワークで前からガンガン来ると思うので、その辺を対応して、自分たちもハードワークという部分で頑張って最後まで諦めないで戦いたいです」。西目はライバル相手にプライドを持って戦い、強みと徐々に高まってきている勝負強さを発揮して「今年こそ」全国舞台に舞い戻る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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