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3度の大怪我に打ち勝った札幌MF深井、窮地救った90+5分同点弾「常に諦めないのが僕のテーマ」

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チームメートの祝福を受ける北海道コンサドーレ札幌MF深井一希(写真中央)

[10.26 ルヴァン杯決勝 札幌 3-3(PK4-5) 川崎F 埼玉]

 後半アディショナルタイム5分、大会史上稀に見るドラマを演出したのは度重なる負傷から蘇った24歳だった。北海道コンサドーレ札幌MF深井一希は「試合に出られない人、怪我をしてしまった人が来ているのもわかっていた。決めてやるという気持ちだった」と劇的な同点弾を振り返った。

 深井にとって今回のルヴァン杯決勝は、札幌U-18時代の2012年末にJユースカップを制して以来、自身2度目の日本一がかかるビッグマッチ。しかし、ピッチ上で迎えた今回とは違い、7年前はベンチ外から仲間を応援する立場だった。理由は左膝の負傷。同年のトップチーム昇格を掴んだものの、満足にプレーできる状態ではなかった。

「プロに入ってから最初の5年間はほとんど怪我をしていた」と振り返るように、プロ入り後の約5年間でも左膝2回、右膝1回の手術を経験した。いずれも全治約8か月〜1年間はかかると言われる前十字靭帯断裂の大怪我。だからこそ、現状を「1試合1試合、サッカーができているだけでも幸せだと感じている」と語る。

 そんな深井の劇的な同点弾に札幌サポーターは大いに沸いた。1-2で迎えたラストプレーの右CK、DF福森晃斗が左足から蹴り出した鋭く曲がって落ちるボールに反応。「スカウティングであそこは狙い目だと言われていて、信じて走り込んだ」。強烈なヘディングシュートをゴール左隅に叩き込み、チームを敗戦の窮地から救った。

 また深井にとっては不屈の精神を表現する一撃でもあった。「怪我の時でも常に諦めないことが僕のテーマ」。起死回生の一発をそう位置付ける背番号8は「絶対に這い上がっていくという強い気持ちは常にあるし、それはサッカーに限らずいろんなところに生きてくる。あれも怪我で培った力だと思う」と自らの意地を確かな言葉で語った。

 このゴールで勢いを取り戻した札幌は延長前半7分、MFチャナティップの突破から得たFKを福森が直接沈め、勝ち越しに成功した。しかも、そのファウルで相手DF谷口彰悟が退場。クラブ史上初のタイトルはすぐそこにまで迫った。ところが、延長後半12分に再度失点を喫すると、PK戦では2人が失敗。自身2度目の日本一は目の前でこぼれ落ちた。

 試合後、大勢の報道陣の前に立った深井は敗戦と素直に向き合った。「1人多くて絶対に守り切らないといけないところで同点にされてしまい、ちょっとしたところが響くとあらためて感じたし、もったいなかった」。自身が決めながらも敗れたPK戦よりも、90分間、120分間で勝ち切れなかったことを悔やんだ。

 それでも、この敗戦を未来につなげていく構えだ。「この舞台に間違いなく来年も来たいなと思うし、今度は笑ってカップを掲げられるようにしたい。自分たちは若いので、また来年戻ってきたいと思います」。

(取材・文 竹内達也)
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