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[MOM3008]日本文理FW長崎颯真(2年)_2年前の躍進きっかけに進学のFWが決勝点

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前半29分、日本文理高FW長崎颯真が決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.26 選手権新潟県予選準決勝 新潟明訓高 0-1 日本文理高 長岡ニュータウン運動公園]

 3トップがガンガンと仕掛ける全国初出場校の姿は、一人の中学生に大きな影響を与えた。2年前に行われた第96回全国高校サッカー選手権に、新潟県代表として初出場を果たして8強まで勝ち進んだのは、長身GK相沢ピーター・コアミ(現千葉)らを擁する日本文理高だった。その姿を見て門をたたいたFW長崎颯真(2年)が、決勝進出につながる貴重な決勝点を挙げた。新潟明訓高とのロングボールバトルが続いた前半29分、中盤からのショートカウンターに鋭く抜け出し、右足のシュートでGKとの1対1を制した。

「後ろの選手が全力で守ってくれていたので、自分も結果を残さないといけないと思っていた。チームに貢献できたかなと思います。前の日からイメージを膨らませていました。動画を見たのは(ドイツ1部バイエルンで活躍しているポーランド代表の大型FWロベルト・)レワンドフスキ選手。相手を押さえてプレーするのが上手いし、決定力もあって、ヘディングも強い。自分のプレーの参考になると思って。でも、ゴール前のプレーを見ていて、あんな形で抜け出すことは想像していなかったですけど……。簡単なシュートほど難しいと言われるので、(完全に1対1になって)ヤバイと思って焦ったんですけど、少し顔を上げてGKを見たらニアサイドが空いていたので、インサイドで蹴り込みました」

 FWにとって、自分の得点で勝利することほど大きな喜びはない。長崎は、さわやかな笑顔を見せてゴールを振り返った。長崎が日本文理に進んだのは、2年前の躍進を見たからだ。県予選の決勝戦は現地で観戦。「見ていたら、鳥肌が立って、ここで全国に行きたいと思いました。練習会に行ったら、人工芝グラウンドがあって環境も良かった」と進路に選んだ理由を話した。

 1年夏からは約1年間、ボランチでプレーしたが、2か月前に先発選手が負傷したため、代役としてFWへの再転向を要求された。2トップを組むのは、10番を背負うエースの齋藤山斗(3年)だが、右足の肉離れを繰り返しており、痛々しいほどのテーピングが物語るように、長時間フル稼働できる状況ではない。この日の齋藤は、抜け出すよりも足下で受けて起点になるプレーが多かった。

 元々、長崎は齋藤が前を向いてプレーしたり、相手最終ライン裏へ抜け出したりできるようにするためのターゲットマンとして起用されているが「本来は、自分が前で収めて、ほかの選手が抜け出す形ですけど、今日は、山斗さんの動きや位置取りを見て、自分が競り合いの後に抜け出した方が良いなと思いましたし、相手の背後のスペースは、いけるかなと感じていました」と状況判断でプレーを変えたことが奏功した。

 得点以外では存在感を発揮しきれなかった部分もあり、駒沢隆一監督が「得点に絡んだ部分は彼らしさが出ていたが、もう少しシュートも打ってほしい。貴重な1点ではあったが、不十分」と厳しく指摘したように課題もあるが、インターハイの県予選準決勝で帝京長岡をPK戦で下した試合では、延長戦後半に同点弾を決め、最後のPKを成功させて勝利に導いた。

 約1か月後の12月1日に行われる決勝戦で再びラッキーボーイとなり、全国デビューを果たせるか。長崎は「前回(夏)は、帝京に勝ったけど、決勝戦で負けてしまった。今度は勝って、全国に行きたい」と連続ゴールに意欲を示した。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2019

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