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夏冬制覇に向けて弾みのつく勝利。新田が目指す攻撃色を披露し、愛媛決勝へ

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後半8分、新田高DF山田俊介(5番)が先制ゴール

[10.27 選手権愛媛県予選準決勝 新田高 2-0 松山北高 西条陸上]

 第98回全国高校サッカー選手権愛媛県予選準決勝が27日に行われ、第1試合で新田高松山北高が対戦。後半にセットプレーから2点を決めた新田が勝利した。11月2日に行われる決勝では今治東中等教育学校と対戦する。

 インターハイ予選王者の新田だが、ここまでの勝ち上がりは決して楽ではない。初戦の2回戦、新居浜工高は延長戦の末、1-0で辛勝。前日に行われた準々決勝の帝京五高は先制点を奪いながら、一度は逆転されたが、リスタートから再リードを奪い、3-2で物にした。苦戦続きだったこれまでとは違い、この日は小野裕太監督が「やっとゲームになった」と安堵の表情を浮かべたように、狙い通り、DFラインでのボール回しによって落ち着いた試合運びを披露。低い位置でのボール回しから効果的にターゲット役のFW福井健太(3年)を狙いつつ、MF山田優人(3年)ら2列目が相手DFの背後を狙った。

前半10分にはMF大野哲平(2年)の縦パスを受けた福井がDF裏にボールを落とし、MF玉井斗和(2年)がシュートを放ったが、GK西田圭吾(2年)が足でストップ。16分にもDF野本空(3年)のロングフィードから福井がゴール前を抜け出したが、シュートは打てない。チャンスを作りながらも、前半は無得点に終わった要因について、主将のMF三好凱斗(3年)は「前半で点を獲ろうという意識が強すぎたせいで、自分たちのプレーが悪くなった」と口にした。

 0-0というスコアは松山北にとって決して悪くなかった。「前半はプラン通り。連動して守備もできたし、奪ってカウンターも仕掛けられた。9月のリーグ戦で凄く成長して、今日の前半が一番良かった」と振り返るのは渡部晃久監督だ。インターハイ予選を機に3年生の主力の大半が引退し、チーム力の低下が心配されたが、この日はMF竹田隆之助(2年)と藤野晴帆(2年)のダブルボランチが積極的に攻守に関与。主将の西田も好セーブでピンチを救った。

 ただ、前から奪う姿勢を強めた後半は全体が間延びし、コンパクトな守備を継続できなくなった。生まれたスペースを「体力には自信があったので、うち的には有利になると思っていた」と小野監督が話す新田に突かれる場面が増える。後半8分には新田が左CKを獲得。ゴール前に上がったクロスはDFに触られたが、高く上がったボールを「相手のクリアが上に上がった。相手は(福井)健太に釣られていると思ったので、『自分が飛び込んだら決まるかも』と反応した」と振り返るDF山田俊介(2年)が頭で押し込んだ。

 先制してからも、新田に気の緩みは見られない。「先制した後に緩んでしまう試合が多かったので、今日は全員で『気持ちを切り替えよう』、『次の点を狙おう』と話した」と話すのは三好だ。これまで同様、自陣でのパス回しから効果的に相手DFの背後を狙うと、34分には福井がPA外で倒されFKを獲得。このチャンスを野本が直接決めて、2-0とした。終盤も集中を切らさず、2点リードのまま試合を終えた新田が夏冬制覇に王手をかけた。

 インターハイでは1回戦で北越高(新潟)と対戦。スコアこそ1-2だったが、シュート本数で大きく下回り、全国の厳しさを味わった。夏以降は守備重視した戦いを改め、攻撃に注力したのも全国で勝つため。成長した姿を多くの人に見せつけるためにも、県内で負けるわけにはいかない。決勝でも攻撃的な姿勢を打ち出し、勝利を掴み取る。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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