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「負けて泣くのは今年で最後にしたい」。初の全国出場を狙う今治東が4発快勝で決勝へ:愛媛

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先制ゴールを喜ぶ今治東中等教育学校FW高瀬太聖

[10.27 選手権愛媛県予選準決勝 済美高 2-4 今治東中等教育学校 西条陸上]

 第98回全国高校サッカー選手権愛媛県予選準決勝が27日に行われ、第2試合で済美高今治東中等教育学校が対戦。前後半に2点ずつ奪った今治東が4-2で勝利し、11月2日に行われる新田高との決勝へ駒を進めた。

 前日に行われた準々決勝・松山工高戦に続き4ゴール。初の全国大会出場を狙う今治東の勢いが止まらない。「連戦なので前半からガンガン行こうと話していた」というDF大谷一真(3年)の言葉通り、キックオフと共に攻撃のギアを入れると、7分には左でボールを持ったMF尾上哲史(3年)のサイドチェンジからフリーのMF越智風太(2年)がシュート。以降もワンツーや3人目の動きから、「FWはシュートを打ってナンボ。ドンドン打つようにしている」と話すFW高瀬太聖(2年)と山中建斗(3年)を活用し、見せ場を作った。

 すると、13分には右サイドの低い位置から山中がゴール前にクロス。「自分でもよく覚えていないけど、感覚で打った。ストライカーの本能という感じです」と振り返る高瀬がアクロバティックな右足ボレーをゴール右隅に叩き込んだ。1点を獲ってからもお今治東の攻勢は続き、36分には左CKのこぼれを拾ったDF長井季也(3年)がゴール前にクロスを入れ直す。山中のヘディングシュートはGKに阻まれたが、ゴール前にこぼれたボールをMF本那脩(2年)が押し込んだ。

 2-0で迎えた後半も勢いは衰えないどころか、更に増す。「県内で一番走っている自信はあるので、自分たちは後半に強い。前半に点が獲れたらラッキーで勝負は後半だと思っていた」。そう振り返るのは大谷だ。左に流れる山中をポイントにチャンスを伺うと、後半15分には左を駆け上がった長井が3点目をマーク。19分には左サイドでパスを受けた山中がカットインからの一撃を決めて、試合の行方を決定づけた。

 防戦が続いた済美も残り時間20分を切ってから反撃を開始。21分には3列目からの力強いドリブルで孤軍奮闘を続けたMF玉上集翔(2年)がPA内で倒されてPKを獲得すると、MF河渕颯(3年)が落ち着いて右隅に決めた。36分にも河渕が加点し、反撃のボルテージを高めたが、残り時間を上手く使った今治東が4-2で勝利した。

 毎年、優勝候補の一角として挙げられる今治東だが、これまで全国大会への出場は一度もない。今年もプリンスリーグ四国の開幕から無敗を維持し、インターハイ予選を迎えたが、決勝で新田に0-1で敗戦。今年こそとの想いが強かっただけに投げやりな気持ちになる選手も多かったが、以降は選手権予選で頂点に立つことを目標にチーム一丸となって頑張ってきた。中でも今予選に並々ならぬ想いを抱くのは主将の大谷で、「無失点優勝を目指していた。インターハイ予選の決勝も1失点だけで負けたので、誰よりも1失点の重みが感じていた」と失点による自責の念から試合後は悔し涙。新田との再戦となる決勝では無失点での勝利を誓った。

 2失点は課題だが、それ以上にこの一年、自分たちが積み上げてきた成果に対する自信はある。谷謙吾監督が「夏のリベンジというより、チャレンジャー。とにかく自分たちがベストを尽くそうとこの大会では言ってきた。やってくれると思いますよ」と口にするのは選手への信頼の表れだろう。高瀬が「監督を全国のピッチに立たせるように頑張りたい。負けて泣くのは今年で最後にしたいので、今年は絶対に勝ちます」と意気込む通り、決勝で歓喜に沸く瞬間を全員が待ちわびている。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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