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意地、成長を見せた3年生、公立勢の利府が宮城3位

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利府高は3年生を中心に奮闘。来年以降に繋がる3位だ

[10.27 選手権宮城県予選準決勝 仙台育英高 4-0 利府高 ユアスタ]

「彼らの意地ですね。凄く成長してくれました」。

 利府高は公立勢として唯一、選手権宮城県予選で4強入り。多賀城高、仙台城南を連破するとインターハイ予選準優勝校・仙台三高との準々決勝は澤村東監督が「今年一番良いゲームだった」と評する戦いを見せた。

 今年の3年生は県新人戦、インターハイ県予選ともにベスト16で敗退。県1部リーグは最下位に沈んでいる。それでも課題を克服し、選手権予選でベスト4進出。この日は3連覇を狙う仙台育英高に0-4で敗れたが、後半途中まで1点差で下がるなど気持ちの込もった戦いを見せた。06年度以来となる全国の夢を果たすことはできなかったが、“ラストゲーム”でも印象的な戦い。指揮官も認める成長を遂げて高校サッカーから卒業した。

 この日は、ともに守備の中心を担うGK村山勇輝主将(3年)やCB遠藤広貴(3年)が下級生たちの好プレーを称える声。サイドを起点に繰り出してくる仙台育英の攻撃に対し、右SB濱辺翔(3年)らが踏ん張って簡単にはクロスを上げさせず、スペースへの抜け出しも阻止して見せる。

 前半12分に先制されたが、その後は1点差を継続する。身体を投げ出して相手のシュートコースを消し、良い形でボール奪った際にはカウンター攻撃。FW大場匠人(3年)の仕掛けや左サイドのFW大平優真(3年)からの折り返しなどで仙台育英ゴールに迫って見せた。

 MF菅原皓太(3年)のロングスローなどセットプレーも交えて攻めた利府は後半9分にMF鈴木格(3年)がゴール前のこぼれ球からシュートを狙い、11分には左SB鈴木樹(1年)の縦突破からチャンスも作る。個々が運動量多く戦い、王者に思うようなゲームをさせなかったが、後半17分に2点目を奪われると、その後も失点を重ねて0-4で敗れた。

 だが、試合後の選手たちは笑顔。澤村監督も「最後ここまで来て満足していると思う。表情を見ていると3年生はやり切った表情をしていますね」と目を細めていた。CB浅野楓葵(1年)ら先輩たちとともに戦った1、2年生の目標は全国。私学勢の壁を破るため、より確実にボールを繋いで攻める部分など勝つために必要な課題を改善し、自分たちの強みを磨く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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