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相手の変化に対応し、エースFW野口2発!玉野光南が「打倒・作陽」を遂行!:岡山

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後半22分、玉野光南高FW野口幹太(左)が先制ゴール

[10.29 選手権岡山県予選準決勝 作陽高 0-2 玉野光南高 津山市陸上競技場]

 公立校の玉野光南が「打倒・作陽」を遂行! 第98回全国高校サッカー選手権岡山県予選準決勝が29日に行われ、インターハイ予選優勝の作陽高玉野光南高が激突。玉野光南がFW野口幹太(3年)の2ゴールによって2-0で勝ち、決勝(対岡山学芸館高、11月3日)へ進出した。

 岡山県内の高校にとって、県内最多23回の選手権出場、06年度に選手権準優勝を果たしている作陽に勝つことは特別だ。各校が目指している「打倒・作陽」。今回は公立校、玉野光南が見事にインターハイ予選準決勝のリベンジをやり遂げた。CB水野和哉主将(3年)は「やっぱり今日勝つことがチームの目標だったので、それを成し遂げることができて良かったです」と胸を張り、乙倉健二監督は「良くやってくれましたね。恐れることなく戦ってくれたのがこのゲームになったと思います」と選手たちを激賞していた。

 前半、作陽はサイドチェンジから右MF林田響(3年)の縦への仕掛けと、2列目のMF伊藤翼(3年)、MF川上陽星主将(3年)の飛び出しを交えたグループでの崩しで相手の守りにプレッシャーをかける。

 だが、玉野光南は水野と坂本智哉(3年)の両CBを中心に安定。ボールを奪うと相手を見ながら素早く繋いでMF高橋蒼空(3年)がフィニッシュに持ち込んだり、セットプレーから野口がゴールを狙うなど、守勢になることなく五分に近い戦いを見せる。

 ただし、作陽は連動した守備と相手の背後を狙った攻撃で徐々にゲームの支配を強めていく。そして、サイド攻撃からのクロスや、得意とするセットプレーの数を増加。右CKからFW杉本翔(2年)がヘディングシュートを放ち、中盤で前を向いた川上の右足ミドルが右ポストをかすめるなど相手ゴールを脅かした。だが、個々がハードワークを続ける相手からゴールを奪うことができない。

 作陽の酒井貴政監督は「セットプレーの回数と仕掛ける回数というのは想定内だったんですけれども、そこで取れなかったのが想定外の部分だった」と振り返る。それでも、「取れなくてもメンバー変えながらやる」(酒井監督)という作陽は、多彩なタレントを活用。後半開始からCFに横尾蒼人(3年)を投入し、11分には技巧派MF竹村翼(3年)を右サイドに送り出す。

 だが、乙倉監督から「(作陽は) 違うタレントを持った子が投入されてくる。カード切られるごとに頭を切り替えて、1試合の中にも何ゲームもあるよ」と伝えられていた玉野光南は、相手の変化に対応して見せる。

 作陽が竹村を投入したタイミングは、玉野光南にとっても勝負に出るタイミングだった。14分に対人での強さ光る左DF武下佳樹(2年)と抜群のスピードを持つFW岸本大雅(2年)を同時投入し、フォーメーションを4-4-2から3-4-3へスイッチ。すると、これまでレギュラーを務めてきた武下が「気合を注入してくれました」(乙倉監督)というプレーでチームを盛り上げ、岸本のスピードが作陽守備陣を凌駕する。

 後半22分、岸本がDFの背後を突く形で突進。このクリアボールを拾った玉野光南が連続攻撃を繰り出す。MF寺尾海星(3年)のスルーパスで再び岸本が抜け出してGKをかわすと、、右サイドで体勢を立て直してクロス。これをファーサイドの野口が右足ダイレクトボレーで合わせて均衡を破った。技ありゴールを決めた野口は胸の「10」をアピールしながらスタンドの控え部員の下へ。そして、仲間たちとともに喜びを大爆発させた。

 先制された作陽は横尾の突破などでゴールに迫るが、運動量が落ちる中で選手の距離間を保つことができず、攻めきる前にボールをロストしてしまう。逆に作陽は岸本が相手の背後のスペースを強襲。そして、36分に追加点。左CKのこぼれ球を右SB川尻裕也(3年)が中央へ折り返す。これをコントロールした野口が右足で再びゴールを破り、2-0とした。

 終盤にもカウンターからビッグチャンスを作った玉野光南が押し切って快勝。野口は「1個上の先輩や2個上の先輩に『作陽に勝ってくれ』『決勝行ったら応援に行く』と言われていた」と微笑み、水野は「決して僕らは強いチームではないんですけれども、チームのために100パーセントハードワークできるというところが今日の勝因かなと思います」と仲間たちに感謝していた。

 玉野光南はプリンスリーグ中国から降格し、今年は岡山県1部リーグを戦っている。強度の高い試合を続けるために大学生や県外の強豪校との練習試合を本気で実施。「(県内トーナメントの)準決勝以上の設定を、という強化をしてきたつもりです」(乙倉監督)という準備も結果に繋げた。

 強敵を突破したが、決勝では昨年度優勝校の岡山学芸館が待ち構える。乙倉監督は「岡山県の子たちが集った玉野光南、県立高校なので。今までの(岡山県内の)育成年代の人たちから預かった選手たちは、僕は岡山のトップ選手だと思っているし、岡山の宝が結集したのが玉野光南だと思います」。また水野は「岡山県(の選手)だけの自分らが岡山県で一番を取ることで岡山県民としても凄く盛り上がると思いますし、自分らが行くことで玉野光南高校としての歴史も刻まれていくと思うので、ぜひ自分らの代で選手権を掴みたいと思います」と誓った。もう一つの大きな山を乗り越えて、必ず全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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