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「3度目の正直」で世界デビュー。輝き放ったGK鈴木彩艶、連続無失点勝利へ

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15歳で前回大会を経験したGK鈴木彩艶(浦和ユース)。3度目の世界大会でついにベールを脱いだ

 その17歳の少年は、すでに世界大会を8試合経験している。ただし、芝生の上にいたことはなく、居場所は常にベンチだった。

 GK鈴木彩艶(浦和ユース)にとって、今回のU-17W杯は、言ってみれば「3度目の正直」となる舞台である。過去2回、つまり2年前のU-17W杯、そして今年のU-20W杯はいずれも飛び級での招集だったわけだが、年下だから出られなくても仕方ないなんて発想はない。素直に「悔しかった」と振り返っている。それだけに、「自分の年代」となった今回のU-17W杯へ懸ける思いは人一倍だった。

「世界大会のピッチに立つのは初めてで、最初は少し緊張していた」

 3度目の世界大会に臨むと言っても、やはり観るのと出るのではまったく感覚が違う。前半の序盤、裏に抜けてきたボールへ飛び出し、「ボールが思った以上に伸びてきて空振りになってしまった」という、らしからぬミスを冒す場面まであった。

 ただ、GKの真価が問われるのはミスした後のプレーである。鈴木彩は変にこのプレーを引きずることなく、そのあとの時間帯は抜群のパフォーマンス。その後は「しっかり切り替えてプレーできた」と振り返ったとおり、日の丸を背負う守護神にふさわしいメンタリティーを見せ付けた。

「カウンターのところでは自分の特長を出せたと思う」と言うように、技術的な安定感の高さを感じさせるキャッチングから強肩を活かした手でのフィード、あるいはパントキックなどでFW若月大和(桐生第一高)らを走らせ、しばしばオランダの選手たちに冷や汗をかかせることにも成功。最後の砦であると同時に攻撃の砲台ともなるGKの醍醐味と言えるプレーを、「3度目」の世界舞台で表現してみせた。

 第2戦のアメリカは「かなりクロスを上げてくる」と言うように、外へ外へと相手を広げていくような展開からのサイド攻撃が大きな武器。「そこは常に準備して飛び出せるときは飛び出せるようにしながら対応したい」と意気込む。

 また試合の大きなポイントになりそうなのは、前日練習でも多くの時間を割いて確認を行ったセットプレー。「相手はかなりパワーがあるけれど、自分もそこは得意なプレーなので、捕ってカウンターに繋げるところまで意識してやっていきたい」と強調した。

 オランダ戦後には試合を見守った母から、「初心を忘れるな」という金言も貰い、「大勝の後だけに、ゆるむ部分が絶対出てきてしまうと思うので、そこは気を付けたい」と改めて気持ちを引き締め直した。

「3度目の正直」で世界デビューを果たした日本の守護神は2試合連続の無失点勝利に向けて、静かに闘志を燃やしている。

(取材・文 川端暁彦)
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