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新人戦、インハイ予選優勝も岡山3冠、選手権切符奪還ならず…名門・作陽は涙の敗退に

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選手権出場に懸けてきた作陽高。試合後も涙は止まらなかった

[10.29 選手権岡山県予選準決勝 作陽高 0-2 玉野光南高 津山市陸上競技場]

 試合終了の笛が鳴ると、名門・作陽高の選手たちはピッチに崩れ落ち、仰向けの状態で涙する姿もあった。3位表彰の際も顔を覆い、膝に手を突く選手たち。勝った玉野光南高の選手たちが涙も見せながらの勝ちロコを終えた後も、作陽の涙はなかなか止まらなかった。

 昨年はインターハイ予選で優勝したが、選手権予選は決勝で岡山学芸館高に2-0から逆転負け。今年、新人戦とインターハイ予選を制した作陽だが、何よりも望んでいたのは選手権予選のタイトルだった。

 酒井貴政監督は「敗因は完全に僕の責任なので……昨年も夏を獲って失速してしまった。今年、何とかと思っていた。グループを活かすところまでのオーガナイズできていなかった」と口にする。

 前半、作陽はサイドチェンジを交えながらハイサイドまでボールを運び、そこからMF林田響(3年)の縦突破やグループでの崩しにチャレンジ。クロスやセットプレーの本数を増やしていた。左SB岸本凪(3年)、MF金津伶(3年)のプレースキックの精度は高く、ゴールに結びつきそうなシーンも。連動した守備で玉野光南の攻撃の勢いを止めるなど、一進一退の展開から徐々に試合の流れを傾けていた。

 前半16分には相手DFの鼻先でボールをカットしたMF吉澤鎮浩(3年)がドリブルで大きく前進し、35分には中盤で前を向いたMF川上陽星(3年)の右足ミドルがゴールを襲う。守備のリスクを消しながら、攻撃面で着実に作っていたチャンス。この前半に1点を決めていれば試合展開も変わったかもしれないが、作陽はここで1点を奪うことができなかった。

 酒井監督は「後半、(選手交代で)もう一回ギアを上げようとしたけれど、相手がやり方を変えてきてこっちの個人個人のところがバラバラになってしまった。守備のところで隙ができてしまった」と分析する。

 前へ急ぎ過ぎた部分があったか、生命線である距離間の部分でわずかに噛み合わなくなり、ボールを失うと背後を突かれてピンチに。運動量が落ちてラインのアップダウンが遅くなったこともあって2失点してしまう。後半にギアを上げきれなかったチームは、無念の敗退となった。

 県内の各校からターゲットにされる中、今年も強さを見せた作陽だが、警戒してくる相手を上回るサッカーを続けていかなければならない。酒井監督は「もっと、グループでかかわれる距離間にしておかないといけないのかなと」。93年度以降、作陽が3年間選手権に出場できなかったことは無い。来年は、より自分たちのサッカーを突き詰めて必ず選手権切符を奪還する。

(取材・文 吉田太郎)
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