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日本代表FWの兄に続くプロ入りも。昌平MF鎌田大夢が強気の仕掛け:埼玉

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今後の活躍次第では、プロ入りの可能性もある昌平高MF鎌田大夢

[10.26 選手権埼玉県予選3回戦 武南高 0-1 昌平高 昌平高G]

 武南高との大一番を制した昌平高の中で、ゲームメーカーでもあるMF鎌田大夢(3年)の強気のドリブル、パスが印象的だった。ダブルボランチの一角として先発した鎌田は前半、中盤中央からドリブルで持ち上がり、サイドへの展開やスルーパスにチャレンジ。後半に右サイドへ出ると、ドリブルで鮮やかに2人、3人をかわして前進したり、PAに侵入するなど攻撃を牽引して見せた。

 後半はやや停滞した時間帯があり、藤島崇之監督は交代も考えたという。だが、そこで前述のドリブル突破。鎌田は「あんまり上手くいかない時間帯があったんですけれども、割り切って、思い切って仕掛けたら上手く行ったので強気に行きました」。指揮官の頭の中からも交代の文字をかき消したこのプレー。気持ち的にも乗ることができたという鎌田は積極的にボールを受けてドリブル、パスを繰り出した。

「リズム掴みだしてから(柴圭汰と小川優介の)ボランチにも『ボールを持ったらどんどんくれ』と言っていたので、どんどん当ててもらって自分で行こうと思っていました。仕掛けで相手を引き出して、どんどんゴールに向かっていけたかなと思います」。シュートシーンこそ増やすことができなかったものの、本人も納得のパフォーマンスで勝利に貢献した。

 鎌田の兄は日本代表FW鎌田大地(フランクフルト)。今年3月に日本代表デビューを果たした若武者は、10月10日のワールドカップアジア2次予選・モンゴル代表戦で代表初ゴールも記録した。

 その兄に対して鎌田は、「素直に凄いなと思いますし、そう思うだけでなくて最終的に越えていけたらなと思っています」。東山高(京都)で下級生時から大型アタッカーとして注目されていた兄と比べると、10cm小柄な鎌田の台頭してきた時期は遅い。また、今年は怪我もあって満足に出場機会を得られない時期もあった。それでも、大一番で存在感を発揮するほどの技巧の持ち主は、ここへ来てJクラブも興味を示す存在になってきている。

 本人は現状に満足していない。「失わずにボールを前に運んで、ゴールに直結するようなパスやドリブル、相手に怖がられるようなプレーをしたいと思います。(選手権は)最後なので、勝ち切ってみんなと長くサッカーができたら良いと思っています」。兄は選手権に出場できないまま高校3年間を終えている。個性のある選手が揃う昌平の一員として、鎌田が兄を上回るチャンスは十分。チームメートたちとともに“兄超え”選手権出場を果たし、評価を高めて自身の目標も達成する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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