beacon

[MOM3018]日大明誠MF五十嵐圭暉(2年)_一度は失った背番号…ナンバー10のプライド示す2G1A

このエントリーをはてなブックマークに追加

日大明誠高MF五十嵐圭暉(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.2 選手権山梨県予選準決勝 韮崎高2-3日大明誠高 中銀スタ]

 チームを22年ぶりの決勝へと導いたのは、背番号10を背負う2年生だった。1年生の途中から背負い始めた背番号を一度は失った時期もあったが、再び身に付けた日大明誠高MF五十嵐圭暉(2年)は大舞台で自身の存在価値をまざまざと見せつけた。

 対戦相手は今年の総体出場校である韮崎。さらに前半6分に先制点を献上して、いきなり劣勢に立たされてしまう。しかし、ここから五十嵐が魅せた。まずは前半38分、DF西野隼人(3年)のロングスローからFW子安魁(3年)が放ったシュートのこぼれ球を押し込んで試合を振り出しに戻すと、後半7分にはMF加藤友稀(3年)の折り返しを右足シュートで叩き込み、勝ち越しゴールを記録した。

 勢いは止まらなかった。後半アディショナルタイムには相手をかわして前線へと運ぶ。ハットトリックも狙えるかと思われたが、「走ってくれている仲間が見えたので、確実な方を選んだ」とフリーで並走していたFW鶴見來紀(3年)へのラストパスを選択。ていねいなパスを鶴見が蹴り込んでダメ押しゴールが生まれた。

 1年時の選手権予選終了後から、背番号10を背負うことになった。しかし、今年の総体予選後に「できるのに、少し勘違いしているんじゃないかと、10番と先発を外した時期があった」(後藤聡志監督)と10番を失い、スターティングメンバ―から外れる時期も数試合あった。「悔しかった」という五十嵐は、「途中出場で結果を出すことだけを考えた」と与えられた環境で自身の存在価値を示そうとする。

 すると、「発奮してほしかった」という指揮官の期待に応えた五十嵐の元に、再び背番号10が戻ってくる。「背負えない時期があって、その分、背負いたい気持ちが強くなった。でも、ここ(選手権予選)で何もできないんじゃ意味がない。ここで、10番として結果を残さないといけないと思っていた」と今予選に闘志を燃やしていた。ここまで2試合無得点ということもあり、「不甲斐なかった。意地でも決めようと意気込んでいたし、本当に点がほしかった」とゴールへの執念を示し、2ゴールを記録するだけでなく、ダメ押しゴールをお膳立て。「決められて良かった」と安堵の表情を浮かべた。

「10番の重みはあるけど、その分、やりがいがある。今後も10番を背負えるように頑張りたい」

 22年ぶりの決勝進出を果たし、悲願の選手権初出場まで、あと一つ。「まだ何も決まったわけではない」と表情を引き締めると、「しっかりとまた次、戦えるようにしたい」と頼りになるナンバー10は最高の準備を進めて大舞台へと向かう。

(取材・文 折戸岳彦)
●【特設】高校選手権2019

TOP