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まさかの3失点から大逆転!各務原が「お互いに100%の力を出し切った戦い」を制して決勝へ:岐阜

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各務原が3失点から大逆転勝利

[11.2 選手権予選準決勝 各務原4-3(延長)中京学院大中京高 長良川メドウ]

 第98回全国高校サッカー選手権岐阜県予選準決勝が2日に行われ、第2試合では各務原高中京学院大中京高が対戦。3点のビハインドをひっくり返した各務原が延長戦の末に4-3で勝利した。9日に行われる決勝では、帝京大可児高と対戦する。

 延長戦を含めた100分間で生まれたゴールは7得点。梅野剛監督が「お互い100%の力を出し切った戦いだった」と振り返った各務原が激闘を制し、決勝行きのチケットを手にした。

 立ち上がりは両チームとも失点のリスクを回避するため、ロングボールを多用しながらゲームを進める中、中京学院大中京は相手エリアでのリスタートを有効活用。前半19分、左サイドから入れたMF田口風真(3年)のハンドスプリングスローがオウンゴールを誘発し、先制点を奪った。

 さらに中京学院大中京は前半21分、DF野々村京平(3年)の左CKをFW和泉龍之介(2年)が頭で合わせて2点目をマーク。28分にもゴール前でFW近藤慶一(3年)、MF梶川慶次朗(3年)と浮き球を繋ぐと、ラストは和泉がジャンピングボレーで合わせ、中京学院大中京が一気に3点差までリードを広げた。

 ロースコアで試合を勧めたい各務原だったが、まさかの大量失点。梅野監督は「10番の近藤(慶一)クンを抑えようという意識が強すぎて、13番の所(和泉)が疎かになっていた」と、立て続けの失点の要因について振り返った。

 中京学院大中京の勝利を早くも確信する会場の空気に飲まれ、前半を終えた各務原の雰囲気は決して前向きではなかったが、ハーフタイムに「1点獲れば流れが来る」と梅野監督に背中を押されたことで息を吹き返す。

 後半に入るとおさまり所がなかった攻撃を修正し、左サイドのMF野倉優(2年)を前線に配置し、攻撃のポイントを作った。中盤でも「良い所でピンチを潰してくれる。このチームは彼で持っている」と梅野監督が称えるボランチのMF山口冬馬(3年)が高い位置でのボールハントから攻撃に関与。すると、12分に「前半3失点して無理かなと思っていた。自分も挫けそうになっていたけど、皆が“まだ行ける!”と信じてボールを集めてくれた」と振り返るFW奥田陽祐(3年)が左サイドを突破。ゴール前に入れたパスをMF服部竜弥(3年)から野倉へと繋ぎ、1点を返した。

 以降は攻めあぐねる時間が続いたが、後半38分にはMF伊藤竜也(3年)が右サイドからゴール前に入れた速いボールを奥田がダイレクトで合わせて1点差に。このゴールで勢いに乗った各務原はラストプレーでFKのチャンス。フィールドの選手全員が相手ゴール前に配置すると、GK堀場友輔(3年)がロングキックを展開し、DF上河原瑛斗(3年)が相手GKと競り合ってこぼれ球を伊藤が押し込み、土壇場で3-3と試合を振り出しに戻した。

 迎えた延長戦でも各務原の勢いは止まらない。延長戦前半4分、服部のスルーパスからゴール前を抜け出した奥田が体勢を崩しながらもシュート。この一撃がゴール右隅に決まり、ついに各務原が逆転した。その後は集中を切らさず、リードを守り切って各務原が4-3で勝利した。

 インターハイ予選は準決勝で帝京大可児と対戦したが、0-1で敗戦。山口は「前半に失点し、ハーフタイムに気持ちが切り替えられないまま後半を迎え負けてしまった」と当時を振り返る。この日、劇的な逆転劇を果たせたのは、逆行を撥ね退ける精神的な成長があったからで、リベンジの準備は進んでいる。「僕が1年生の時も帝京大可児に負けているので、今年はやり返したい」と意気込みように、決勝でも最後まで諦めずに歓喜を引き寄せるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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