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粘り強く掴んだ初出場とは一変。星稜に攻め勝った鵬学園が逆転勝利で2度目の選手権へ:石川

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星稜を下して鵬学園が2度目の選手権へ

[11.3 選手権予選決勝 星稜1-2鵬学園 石川西部]

 第98回全国高校サッカー選手権石川県予選決勝が3日に行われ、星稜高鵬学園高が対戦。延長までもつれた一戦は鵬学園が2-1で勝利し、3年ぶり2回目の選手権出場を決めた。

 我慢の末に初の選手権出場を掴んだ3年前とは違い、日本一になったこともある絶対王者・星稜に対して真っ向勝負を挑み続け、2度目の選手権出場を手にした。

 試合全体を通してみれば鵬学園の堂々たる戦いぶりが光ったが、立ち上がりは上手く行ったとは言い難い。キックオフと共に後方からロングボールを蹴り込む星稜の攻撃を跳ね返すのが精いっぱいだった。果敢な仕掛けを見せた星稜のMF木曽弥矩人(3年)とロングスローを繰り返したDF奥秋賢将(3年)に手を焼き、自陣での時間が長く続いた。

 前半5分にはCKを星稜に与えると、ショートコーナーからFW千葉大護(2年)に先制を決められた。赤地信彦監督は「立ち上がりの20分は絶対に仕掛けてくると思っていた。試合前に伝えていたのに、選手がビビって何もできなかった」と振り返る。

 失点後も危ない場面が続いたが、DF富川聖也(3年)やGK前原瑞穂(3年)が集中力を保った守りを見せ、追加点を阻止。赤地監督が「0-1で良かった。2点を失っていたら、ゲームが終わっていた」と口にする通り、失点によるダメージを最低限に留めて試合を折り返した。

 迎えた後半は、MF鈴木嶺騎(2年)を投入し、システムを4-4-2から4-2-3-1へと変更。トップ下に入った鈴木が中盤で巧みなボールキープを見せると、「相手が嶺綺を止めようとして、周りが自由になれる場面が増えた」(島田凌、3年)。判断良く、足元とスペースを使い分けた配球からMF永田貫太(3年)とMF高戸祐成(3年)がサイドを攻め込むと、後半10分には左CKから、FW坂本健太(3年)がドンピシャのヘディング弾を決めて、試合は振り出しに。

 その後は、MF河村怜皇(3年)と島田が高い位置でセカンドボールを拾う回数を増やし、相手エリアでゲームを進めたが、2点目は奪えず延長戦へと突入した。

「どっちが最後まで走り切れるか、どっちが点を獲りたい気持ちが強いかの勝負になると思っていた」と河村が振り返る延長戦では一進一退の展開が続いた。勝敗が決したのはPK戦突入間近の延長後半8分だった。
 ここまで相手に警戒され、持ち味のオーバーラップが鳴りを潜めていたDF橋本密(3年)が勢いよく相手ゴール前まで攻め上がり、中央にパスを入れる。後方から駆け上がったFW宮本爽汰(3年)がダイレクトで合わせたボールがゴールネットに突き刺さると、直後にタイムアップを迎えた。

 今年の3年生は、初の選手権出場を掴んだ3年生のチームに憧れ、鵬学園に入学した選手が多い。「中学時代の先輩たちが必死に戦う姿に感動して鵬学園に入学したので、次は自分たちが感動させたいと思っていた。少しでも見ていた人が感動してくれたら嬉しい」と話すのは河村だ。

 星稜の猛攻を耐えて掴んだ1度目とは違い、2度目の今回は星稜以上に見せ場を作っての勝利。河村が「引いてばかりじゃなく、自分たちのプレーを見せて勝てたのは大きい」と続けたようにジャイアントキリングではなく、自らの実力で掴んだ勝利だ。全国でも鵬学園らしさを存分に出せれば、次のターゲットである選手権初勝利も見えてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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