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選手権ならではの難しさ…四中工が苦しみながらも逃げ切り連覇に王手:三重

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先制点を奪ったMF宮木優一(2年)をチームメイトが祝福

[11.4 選手権予選準決勝 四日市中央工1-0四日市工 東員町]

 第98回全国高校サッカー選手権三重県予選準決勝が4日に行われ、2年連続での出場を目指す四日市中央工高と四日市工高が対戦。前半23分に奪ったMF宮木優一(2年)のゴールを守り切った四中工が1-0で勝利した。

 試合前は大差が予想されながらも、蓋を開ければ辛勝。苦しみながらも決勝行きのチケットを手にした四中工の伊室陽介監督が「まさに高校サッカー選手権。相手も人生や高校3年間の想いを背負って戦ってくるのだから、簡単にはいかない」と口にした通り、選手権ならではの難しい試合展開となった。

 序盤からペースを握ったのは個の力で上回る四中工。ボールを持ったら素早く前方に配球し、FW田口裕也(3年)やFW和田彩起(3年)ら個性溢れるアタッカー陣の推進力ある仕掛けで四日市工を押し込んだ。前半23分、右サイドを持ち上がったDF永崎楓人(3年)が中央にパスを配球すると、左に位置した宮木が中央に絞って反応。スムーズなターンでDFをかわして放ったシュートがゴールネットを揺らし、均衡を崩した。

 前半29分には、ドリブルで左を抜けたMF森夢真(3年)がゴール前にパス。中央を走りこんだ田口がスライディングで合わせたが、枠の外。前半だけで9本のシュートを打ちながらも、DF澤田陽向(2年)とGK小口和紀(3年)を中心に最後まで諦めない四日市工の守備に苦しみ、追加点は奪えず。試合後、田口は「チャンスはあったのに決めきれなかった。四中工の17番を背負わして貰っているのにあんなプレーじゃダメ」と反省を口にした。

 前半は風下に立ち、強風の影響を受けたこともあり、風上に立った後半は状況が改善されるかと思われた。だが、「パスワークが活きるはずが、ボールロストが多かった」(伊室監督)ため、思うように前進できない。ミスからカウンターを受ける場面も目立ち、後半14分には相手のプレスによってボールを失うと、こぼれ球を拾ったFW白川賢伸(3年)に危ないシーンを作られた。終盤は逆転を目指した四日市工の勢いに飲まれたが、DF鐘ヶ江秀太(3年)らが集中力を切らさず対処し、1-0で逃げ切って勝利を掴んだ。

 苦しんだ印象が強く残るゲームとなったが、伊室監督は「よく失点せずに済んだ。今までならやられていた展開」としぶとく勝利を手繰り寄せた選手たちを評価。主将の森も「今日の試合が一番成長を感じた。今までは苦しい時に失点したり、連続失点していたけど、今日は皆で声を出して耐えきれたのが良かった。皆の全国に行きたいという気持ちの強さが出たと思う」と続ける。

 海星高との決勝でも難しい試合になるのは確かで、伊室監督は「どっちが勝つか分からない中で勝負強い四中工らしさを出して勝ちたい。決勝はガチンコ勝負。綺麗なサッカーにはならない。相手より走り、球際で頑張り、声を出す。最後までそれを続けたチームが勝つと思っています」と話す。準決勝以上に勝負に拘り、戦う姿勢を前面に押し出すことができれば、自ずと結果がついてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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