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[MOM3032]神村学園MF濱屋悠哉(3年)_万能エースが圧巻2発!「スカウトが取れば良かったと思えるプレーを」

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先制点を喜ぶ神村学園高FW濱屋悠哉(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 高校選手権鹿児島県予選決勝 出水中央高1-2神村学園高 白波スタ]

 果敢な抜け出しで奪った先制弾に、個人技で獲得したPKによる勝ち越し弾。神村学園高を史上初の3連覇に導いたのはFW濱屋悠哉(3年)の2ゴールだった。ボールを落ち着かせる技術と守備の献身性も備える万能な18歳は、プロ入りに届かなかった現実を「全部がまだまだ足りない」と受け止め、さらなるレベルアップを遂げようとしている。

 背中と胸には『14』の数字。全国ベスト16入りを果たした2年前には、FW高橋大悟(清水→北九州)も背負っていたエースナンバーが輝く。有村圭一郎監督監督が「ウチの大黒柱」と評するように、チームへの貢献度は絶大。準決勝までの4試合で合計9ゴールを沈め、決勝進出の立役者となっていた。

 そうして迎えた決勝戦はエースの独壇場だった。前半32分、GKからのキックに反応して裏へ抜け出すと、飛び出した相手GKよりわずかに先に触って先制ゴールをマーク。さらに同点に追いつかれた後の後半26分には、ドリブルで相手を剥がしたところで倒されてPKを得ると、これを落ち着いて決め、勝利につながる2得点を一人で叩き出して見せた。

 ただ、本人の姿からは“ここまで連れてきてやった”という類のプライドは一切感じられない。「サッカーでは副キャプテンとしてチームを引っ張るけど、学校ではバカっていうかポンコツって言われてます」。プレーからも口調からもどこか飄々とした空気感すら漂い、「チームメートがいたから決められた」という言葉にも濁りがない。

 そんな姿勢はチャンス以外のプレーにもしっかりと表れている。この日は決勝戦特有の「行ったり来たり」の展開でもアップダウンを絶やさず、浮いたボールをことごとく収めることで攻守のつなぎ役に奔走。また最終盤の劣勢時には中盤の空中戦でイエローカード覚悟のチャージを見せるなど、守備面での貢献も要所で目立った。

「伊作スポーツ少年団でプレーしていたんですが、小学校の時から守備の競り合いはしっかり教えてもらってきたし、そこは中学でもやってきました」。全国大会出場常連の神村学園中等部でも幼少期からの教えを守り、真摯に成長を続けてきたようだ。

 そうした謙虚さの背景には、尊敬する「高橋大悟」という偉大な存在があるという。1年時から大会メンバー入りしていた濱屋にとって、高橋は間近で見てきたロールモデル。「ゴール前の決定力がすごいし、一人で状況を変えられる」。そんな先輩の活躍ぶりを踏まえると「大悟選手にはまだ劣っている」という自己評価になるようだ。

 またJクラブの内定が決まらず、大学進学を決断した現状にも満足していない。「まだ圧倒して勝てているわけではないし、まだまだ決定力を上げないといけない」と愚直に結果と向き合い、「まだまだ全部が足りないと思う。ゴール前の怖さもボールを持った時の怖さも足りない」と4年後のプロ入りへ成長意欲を持ち続けている。

「大悟さんの代はベスト16だったので、神村らしいサッカーをして一つでも上を。そして目標の全国制覇を成し遂げたい」。最後の全国大会に向け、やはりまずはチームの目標を語った18歳だが、自らのアピールにも意欲を見せる。「プロのスカウトマンが取っておけば良かったと思えるプレーをしたい。全国大会を通じてまた成長して、これから取りたいと思われる選手になりたい」。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

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