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[MOM3035]矢板中央MF星景虎(1年)_「先輩を全国に」ニア上ぶち抜く“カゲトラ砲”

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MF星景虎(1年)を中心に歓喜の輪が広がった

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 高校選手権栃木県予選準決勝 矢板中央2-1宇都宮短大附 栃木グ]

 焦りが募る時間帯に突入していた。1点ビハインドのままラスト10分。後半、完全に主導権を握った矢板中央高(栃木)はセットプレーから連続して好機をつくり、交代策で攻撃の圧力を強めたが、ゴールが遠い。攻勢の中で苦しい時間帯が続いたが、途中交代のMF星景虎(1年)がチームを救う殊勲弾をもたらした。

「最後に残った一枚で自分が起用されて、ここで試合を決めないと使ってもらった意味がない。先輩に全国に行ってもらいたいので、流れを変えてやるという気持ちでした」

 5枚目の交代枠で後半24分に投入された1年生アタッカーは、果敢な姿勢でシュートを打ち、怒涛の逆転劇を演出した。後半29分、密集からMF久永武蔵(3年)が右にボールを出すと、待ち構えていた星がフリーで反応。「ちょうどいいこぼれ球が来た。ここで決めてやろうという気持ちで打った」。迷わず右足を振り抜き、弾丸ショットでニア上をぶち抜いた。

 咆哮してベンチへと駆け寄ると、仲間と歓喜を爆発させた。待望の一撃に応援団も「カゲトラ」「カゲトラ」と熱気が高まり、流れは完全に矢板中央。1-1に追いついた5分後にもロングスローの流れから久永が追加点を挙げ、一挙逆転に成功した。

 気持ちを乗せたゴールだった。2日の準々決勝・足利大附戦にも途中出場したが、シュートを得点につなげられず。「次は決めろよ」というチームメイトの期待、高橋健二監督の「思いっきり仕掛けてシュートを打って終われ」という声にも応えてみせた。

 高橋監督も星のゴールをこの試合のターニングポイントに挙げ、「あの時間帯によくやったよ」と称賛した。勝利の立役者は中学時代に生徒会長を務めた「好青年」とあって、指揮官は「性格的な真面目さもある。先輩からも信頼されているから。結果を出してくれてよかった」と活躍に目を細めた。

 全国まであと一勝。「決勝で勝たなきゃ意味がない。先輩を全国に連れて行けるように、自分らしいプレーをしてチームに貢献したい」。先輩の思いを背負い、1年生らしい積極果敢なプレーで表現した“矢板の星”は「先輩を全国に」という言葉を繰り返し、9日の決勝を見据えた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

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