beacon

“高校生離れの風貌”関学GK衣笠吉彦、ドルトムントの新星との対戦で目覚めた筋トレ

このエントリーをはてなブックマークに追加

周りが涙を流す中で衣笠はしっかりと顔を上げていた

[11.4 高校選手権兵庫県予選準決勝 神戸弘陵1-0関西学院 アスパ五色]

 2年連続となる夢の舞台には届かなかった。昨年、50年ぶりに全国大会に出場した関西学院高だったが、今年度は県4強で姿を消した。

 ムキムキの体、頭の右サイドを刈り上げ、あごひげを蓄えた大人びた風貌でゴールを守る姿に目を奪われた。そして試合後は多くの選手が涙を流す中で、GK衣笠吉彦は凛とした表情で、応援してくれた仲間たちにあいさつ。「まだ泣いてもいい段階で負けたと思っていないので」。涙を流さなかった理由まで高校生離れしていた。

 2年時にチームで実施したドイツ遠征での経験が、体の変身を決意させた。練習試合でドルトムントの14歳注目FWユズファ・ムココと対戦。そこでフィジカルの違いに衝撃を受けた。帰国してから筋トレに目覚め、食事制限もして肉体改造に着手。昨年の全国選手権出場時にはすでに5キロほど増えていたが、今はさらに5キロ増に成功した。

「ムココと対戦して、全然パワー、フィジカルが違うなと感じました。日本だったらハイボールに競ったときに当たり負けすることはなかったけど、向こうでは競り負けて、アカンなと思った。小学校の時に柔道をやっていたけど、全然細かった。今は筋トレを毎日やっています」

 関西学院大に進学するが、サッカーを続けるかは分からないという。残すはプリンスリーグ関西参入戦のみ。11月下旬に行う和歌山1位の初芝橋本高との決定戦が、サッカー人生最後の試合になる可能性がある。「次も大事な試合があるから?それもあります」。涙を流さなかった理由について、そうも語った衣笠。有終の美を飾って流す嬉し涙を最高の思い出としたいところだ。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校選手権2019

TOP