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3冠狙う名古屋U-18、多彩な攻撃とプレスで4強進出

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名古屋グランパスU-18が4年ぶりとなる準決勝進出を決めた

[11.4 Jユースカップ準々決勝 名古屋U-18 3-1 広島ユース Jスタ]

 Jユースカップ2019の準々決勝第2日が4日、福島県のJヴィレッジスタジアムで行われ、第1試合は、全国3冠を目指す名古屋グランパスU-18が、3-1でサンフレッチェ広島ユースを下した。

 古賀聡監督は「プレスをかけてボールを奪い返す部分は良くなっていたが、攻撃面で相手との駆け引きがなくパスを受けて、次の受け手で奪われたり、前を向けなかったりというミスがあり、試合を支配し切れなかった」とさらなるレベルアップに向けた課題を指摘したが、名古屋は夏に日本クラブユース選手権を制覇し、高円宮杯プレミアリーグWESTでも残り4試合の状況で首位を走っており、文句なしの好成績を挙げている。目指す3冠へ、また一歩前進した。

 試合は、思わぬ形で動き始めた。前半4分、名古屋はプレスバックに戻ったMF田邉光平(3年)の素早いロングフィードにFW武内翆寿(2年)が反応。前に飛び出してきたGKに阻まれたが、武内のフォローに走っていた村上がインターセプトし、無人のゴールにミドルシュートを決めて先制点を挙げた。

 リードされた広島は棚田颯(3年)、棚田遼(1年)の兄弟ツートップの連係で反撃を試みたが、中盤でノッキングを起こし、最終ラインでプレッシャーを受けるケースが目立った。

 名古屋は、右サイドに入った2人が躍動。レフティーのMF榊原杏太(3年)がタイミングの良いパス出しと、鋭いカットインで攻撃の起点になり、後方からは新玉瑛琉(3年)がパワフルな攻撃参加で押し込んだ。

 そして、名古屋は15分に右サイドで縦のワンツーから村上が惜しいシュートを放ち、26分に新玉のミドルシュートがクロスバーをたたくなど攻勢を見せた。すると30分、今度は左サイドで武内が抜け出しに成功し、カットインからシュート。後ろから走り込んだ榊原がこぼれ球を走りながらコントロールし、ボレーシュートでゴールへたたき込み、追加点を奪った。

 広島は、中盤の底でビルドアップを助けていたMF池田柚生(1年)の位置を上げて反撃。41分、MF細谷航平(3年)の縦パスに棚田遼が抜け出すと、前進してきたGKの鼻先でボールを触ってかわし、シュートに持ち込もうとしたが、カバーにした相手DFに阻まれた。

 それでも、後半は攻撃をテンポアップ。後半10分、押し込んだ後のこぼれ球を拾った池田が左に展開すると、左ウイングバックの光廣健利(1年)がクロス。ゴール前に飛び込んだ細谷が頭で合わせて1点を返した(※公式記録上は棚田颯)。

 その後も右ウイングバックの影山兼三(3年)が強烈なアタックを敢行し、細谷のミドルシュートなどでペースを巻き返した。しかし、後半26分、名古屋がクリア気味の縦パスからカウンター。村上が空中戦に競り勝つと、武内がドリブル。相手をひきつけてスペースへパスを出すと、フォローに来た村上がきっちりと3点を奪い、粘る相手を突き放した。終盤は広島が猛反撃に転じたが、名古屋が3-1で逃げ切った。
 
 攻撃の起点となり、2点目を挙げるなど勝利に貢献した榊原は「守備の堅い広島に前半で2点取れて、良い入り方ができた。(1、2回戦で失点して)課題だった後半の入りで失点した部分は改善しないといけないけど、1失点で抑えられた点は評価できると思う。ズルズルと流されないで、球際からやろうと話して改善できた」と手応えを示した。

 名古屋は、世代別日本代表への招集や、負傷により、ポジションを変えて起用する選手がいる状況でも、チームの持ち味である多彩な攻撃は健在。プレスでボールを奪い返すことで、特長を発揮する機会を増やすことができるようになり、後半の失点癖という課題は残しながらも、得点機会を多くすることで勝ち切っている印象だ。

 3冠制覇は容易でないが、次戦では負傷したMF石田凌太郎(3年)や石谷光基(2年)が戦線復帰する可能性もあるという。11月10日、レベルファイブスタジアムで行われる準決勝では、大宮アルディージャU18と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
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