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スカウト陣の視線集めたU-17若月大和、厳しい“警戒態勢”に潰され不発

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初戦の2ゴールとスピードで世界を驚かせたFW若月大和(桐生一高/湘南内定)

 10日足らずの間で世界に「WAKATSUKI」の名前を轟かせたのは間違いなかった。U-17日本代表FW若月大和(桐生一高/湘南内定)はU-17W杯において、オランダとの初戦で2得点。以降も確かな存在感を放ち、欧州から来たスカウト陣の視線を集め続けることとなっていた。

「一戦一戦、世界のいろいろな選手と対戦できて刺激になるし、本当に楽しい」

 グループステージを終えたあと、そんな言葉も漏らしていた。だが、その直後に行われたラウンド16のメキシコ戦で、日本の進撃は止められることとなり、「シュートを決めるのが自分の仕事」と意気込んでいた若月もまた、ノーゴールに終わることとなった。

 オランダ戦でのセンセーショナルな活躍を受けて、以降の対戦相手は若月に対して厳しい警戒態勢を敷いてきた。アメリカとの第2戦は一つの典型例だが、このメキシコもそこは同じ。時に中盤の選手が前を向いてボールを運ぶスペースを与えてしまうことになったとしても、若月には背後のスペースを使わせず、ボールを持てば激しく当たられて潰された。

 リスペクトされて研究されるのは活躍した選手の宿命だが、「警戒されている中でも何ができるのか」は若月の今後を考える上でも一つのキーファクター。「もっと起点になって味方を活かすことを考えた方がよかったのかもしれない」と本人が振り返るように、少し気持ちが入り過ぎていた部分もあったのかもしれない。

「絶対に勝ちたかったし、本当に負けて悔しい」

 スピードを武器に世界大会のピッチを駆け抜けた群馬の韋駄天FWは、グッと唇を引き結んで、悔恨を噛みしめた。森山佳郎監督は「敗戦で胸に突き刺さった思いを成長のエネルギーに変えて欲しい」と選手の今後にエールを贈ったが、向上心の塊である若月ならば必ず、この日の「悔しさ」を忘れることなくバネにして、さらなる成長を遂げてくれるに違いない。

(取材・文 川端暁彦)
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