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U-17日本代表、雄図むなしく敗退も「下を向く必要はない」問われるのは成長力

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「大成する選手は負けた後の成長が凄い」と森山監督は言う

「もっと上に行けたはず。余りにもったいない」

 森山佳郎監督が苦い表情と共に漏らした一言は、選手やスタッフはもちろん、見守っていた側にも共通する思いだろう。

 U-17W杯ラウンド16で日本と対峙したメキシコは確かに素晴らしいチームで、恐るべきハードワーカーの集団だった。日本よりタフな日程だったにもかかわらず全くそれを感じさせず、老練で抜け目のない戦いを完遂。日本の良さを消しながら要所でゴールネットを揺らす勝負強さを見せ付ける形で、初の4強を視野に入れていた若き日本の雄図を阻んだ。

 ただ、U-17はあくまで過程の年代。「下を向く必要はない」と森山監督が強調したように、ここでメキシコに負けたからといって、日本の選手たちがメキシコの選手たちよりビッグになれないということではない。日本チームが大会で見せたパフォーマンスも、当然ながら課題を抽出して次代へフィードバックしていくべきだが、1試合の不出来で全否定されるべきではない。本当に問われるのはここからの成長力であり、この悔しさを進化への糧に変えていくための克己心だ。

 森山監督は育成年代での豊富な経験を通じ、「A代表になるような大成する選手は負けた後の成長が凄い」と感じてきた。だからこそ、彼らの真価が問われるのはここからなのも知っている。

「今、日本の選手の成長速度はだいぶ早まって19、20くらいで世界に出て行けるようなレベルの選手が出て来ている。日本国内の15歳や17歳の試合では味わうことができないような経験を彼らはここでした。足りないモノを胸に刻んで、上の年代で輝いてくれる選手になってくれれば」

 2002年以降に生まれた選手たちで構成されるU-17日本代表“02ジャパン”の冒険は4試合で幕を閉じることとなった。目標に掲げた7試合には遠く及ばなかったこの大会は、ひとまず「失敗」として記録されることになるだろう。ただ、10年後に「あの悔しすぎる敗戦があったからこそ」と振り返る日を迎えることができたのなら、この敗戦は「成功への切っ掛け」として記憶し直されることになるはずだ。

(取材・文 川端暁彦)
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