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「夏以降ワンランクアップした」立正大淞南、“ライバル対決”制して4連覇達成:島根

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立正大淞南が4連覇で全国へ

[11.9 高校選手権予選決勝 大社0-4立正大淞南 松江]

 第98回全国高校サッカー選手権島根県予選決勝が9日に行われ、立正大淞南高大社高を4-0で下し、4年連続18回目の出場を決めた。

 2017年の全国総体予選以降、選手権予選と合わせて6大会連続となるライバル対決は、見事なゴールラッシュを見せた立正大淞南が快勝。今年の新人戦と全国総体予選を制し、県内3冠を狙った大社を攻守に圧倒し、全国大会への切符をもぎ取った。

 立ち上がりからハイプレッシャーによるボール奪取を繰り返す立正大淞南に対し、大社は奪ったボールを的確につなげず、なかなか攻撃のリズムを作れない。そうするうちに前半18分過ぎ、立正大淞南はJ1松本山雅FCへの加入が内定しているMF山田真夏斗(3年)が、大社の守備網を破るスルーパス。これを最終ラインの背後で受けたMF伴木翔(3年)が飛び出してきた大社GK飯塚統麻(2年)に倒されてPKを獲得する。これを山田真が確実に決め、均衡を破った(得点時間は19分)。

 大社も再開直後の前半20分、ビッグチャンスを得る。DF小川翔大(2年)の右からのセンタリングをゴール前中央でフリーになっていたMF伊藤悠星(3年)がヘッド。しかし、立正大淞南GK豊田純平(3年)がゴールラインぎりぎりで弾き出し、同点ゴールを許さない。

 ピンチを逃れた立正大淞南は攻撃の手を強めると、前半35分に追加点を奪う。右サイドからのFKを山田真がファーサイドへ送ると、DF大迫武早志(3年)がヘッドで合わせる。このシュートはクロスバーに当たったものの、大きく上にはね返ったボールが落ちてくるところをDF松村巧(2年)がヘッドで押し込んだ。

 前半のうちに選手を1人代えていた大社は、後半開始からさらに2人を投入し、局面の打開を図る。後半4分には、交代で入ったFW高月昂希(1年)が中央でこぼれ球を拾ってミドルシュートで狙うなど、攻撃の勢いをつかみそうな兆しはあった。2月の新人戦決勝は立正大淞南が前半で2-0としたが、後半に大社が2得点を挙げ、PK戦の末に勝利をつかんでいる。立正大淞南は後半16分にFW片淵竜鳳(3年)、FW楠空冴(3年)の連続シュートが大社守備陣に阻まれ、勝利に大きく近づく3点目を奪えない。

 しかし、なおも攻め続けた立正大淞南は後半18分、右サイドを破った片淵のセンタリングを、ファーサイドで伴木が蹴り込んで3点目を奪う。さらに33分には、混戦での1対3の状況でボールを奪い切った片淵が、そのままエリア内右サイドまでドリブルで運び、逆サイドに蹴り込んで4点目。ゴールラッシュを締めくくった。

 大社は「相手に勢いを持って(ボールを奪いに)来られたのに対し、しっかりつなげなかった」と後長直樹監督が振り返ったように、狙いとするポゼッションプレーを出せず、一つひとつのプレーが後手に回って失点を重ねた。

 プリンスリーグ中国に昇格した今年度は、より厳しい相手との競り合いの中でチーム力を伸ばし、全国総体は12年ぶりの出場を果たしたものの、4年ぶりの選手権出場はならず。今後は1、2年生も多く出場したこの試合の悔しさを晴らすべく、残り3試合で降格圏内の9位にいるプリンス中国での残留を目指すことになる。

 勝った立正大淞南は、南健司監督が「夏以降、技術も戦術もフィジカルも、何もかもワンランクアップしたことが大きかった」と語った通り、全国総体出場を逃した後のチーム力の底上げを最高の形で表現。期待に応える活躍を見せた山田真については「ここ一番で力を出せるのが持ち味で、だからこそプロ選手になれた。力を証明してくれたと思う」と称賛した。

 南監督は全国大会について「今日は応援席にいた選手でも、(メンバーに入って)やれる選手ばかり。また競争して、チーム力をワンランクアップさせたい」と、さらなる成長への決意を新たに。Jクラブ内定選手として全国の舞台でも注目を集めそうな山田真は「日本一を取ります」と力強く語った。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校選手権2019

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