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強化開始から10年目…大手前高松、難敵・香川西を退けて悲願の選手権初出場へ:香川

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大手前高松高が悲願の選手権初出場へ

[11.9 選手権予選決勝 香川西0-1大手前高松 ピカスタ]

 第98回全国高校サッカー選手権香川県予選決勝が9日に行われ、四国学院大香川西高大手前高松高が対戦。後半12分に生まれた先制点を守り切った大手前高松が1-0で勝利し、初の選手権出場を手にした。

 強化開始から今年で10年目を迎えた注目校・大手前高松が新たな歴史の1ページを開いた。序盤は全国行きがかかった大一番とあり、互いにリスクを回避した慎重な入りとなった。

 香川西はボールを持ったら、サイドへの長いパスを展開。MF宮本大輝(2年)とMF箱崎達也(2年)が思い切りの良い仕掛けを披露し、CKを奪った。同時に前線からのプレスも行い、前半25分にはFW山内拓海(3年)のチェイシングからGKのミスを誘い、CKを獲得。ゴール前に上がったボールを山内が頭で合わせたが、シュートは枠を捉えられない。

 対する大手前高松は、「前から奪いに来た相手をDFラインでパスを繋いでくぐり抜けようと思っていたが、歯車が狂って普段通りに行かなかった」(川上暢之監督)。相手のプレスに苦しみ、ロングボールを蹴らされる場面もあったが、前半途中からは「選手が普段やってきことを発揮した先に結果があると思っていた。上手く行かなかったけど、前半は気持ちが整理できれば良いと考えていた」(川上監督)と、焦れずに後方でパスを繋ぎ、試合を落ち着かせた。

 後半は開始と共にMF滝平昂也(3年)のパスからFW正木浩輔(2年)がCKを奪ったことで、大手前高松が勢いに乗った。11分には、カウンターから正木、MF滝平と繋いで右サイドを攻略。最後はFW片上椋太(3年)のクロスからCKを奪った。このチャンスは相手DF跳ね返されたが、続く12分には滝平が左サイドから入れたロングスローが相手のオウンゴールを誘発し、大手前高松が均衡を崩した。

 先制してからは、シンプルに前に運び相手エリアでの時間を増やそうとしたが、後半19分にCKからDF佐藤敬太(2年)にクロスバー直撃弾を許すなど、同点を狙った香川西の勢いに飲まれた。

 だが、「これまで香川西に負けてきたのは失点してきたから。総体も先制しながら逆転されたので、集中を切らさず練習してきたクロス対応を最後まで頑張ろうと思っていた」と振り返るDF糸瀬英哲(3年)を中心とした大手前高松の守備は、最後まで崩れることはなかった。

 終了間際には、ゴール前での混戦を詰めた香川西FW町田大河(3年)にゴールネットを揺らされたが、オフサイドの判定となりノーゴール。糸瀬が「危ない場面もあったけど、今日はついていた」と笑みを浮かべたように、運も味方にした大手前高松が1-0で逃げ切った。

 悲願の選手権初出場を掴んだ大手前高松の歴史は、川上監督がサッカー部監督に就任した2008年から始まった。初年度に在籍した部員はわずか6名だったため、体育の授業でサッカー経験者をかき集めて何とか選手権予選に挑んだが、初戦で高松中央高に0-17で敗れた。

 翌年から強化指定クラブになってからは強化が進み、2016年からはプリンスリーグ四国にも定着した。昨年は初めて選手権予選の決勝に進出。今年もインターハイ予選の決勝まで進んだが、共に香川西に敗れ、涙を飲んだ。

 あと一歩のところで全国を逃がしてきたが、積み重ねた経験は無駄ではない。糸瀬は「新人戦を含めて3大会連続で香川西に決勝で負けたけど、決勝の雰囲気を知れたので今回は落ち着いてプレーできた」と話す。

 試合後に片上が「県で優勝はできたけど、僕たちはまだまだチャレンジャー」と口にした通り、新たなステージである全国大会では新米の立場だ。まずは香川県勢が近年果たせていない初戦突破を目標に一戦必勝を目指す。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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